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【勝負の分かれ目 中山記念】後続に脚を使わせる「無敵」の逃げでパンサラッサが快勝

  • 2022年02月27日(日) 18時50分
 3枠5番のパンサラッサが好スタートを切り、鞍上の吉田豊に促されてハナに立った。

「(矢作芳人)先生と話したとき、この馬の競馬をしてくれと言われました。逃げて、後ろの馬に脚を使わせるよう、ペースを落とさなくてもいい、と。ほかにも行きたい馬がいましたから、思い切ってちょっと出して、あとは馬のペースで行きました」と吉田。

 スタンド前でハナを取り切ってからスムーズに内埒沿いに誘導し、1コーナーへと入って行く。

 外からトーラスジェミニワールドリバイバルらが並びかけようとしてきたが、パンサラッサは譲らず、1馬身ほどのリードを保ったまま2コーナーを回って行く。トーラスジェミニワールドリバイバルパンサラッサを抜くこともできそうに見えたが、2頭とも無理にハナを奪おうとはしない。

 向正面に入ると、馬群は、先頭から最後方まで15馬身ほどの縦長になった。

 快調に先頭を走るパンサラッサは、ここから後ろとの差を少しずつひろげて行く。

「1、2コーナーで遅くすることもできたのですが、もう自分のペースで行こうと思い、みんなに脚を使わせるようにしました」と吉田。

 2番手のトーラスジェミニとの差を3馬身ほどにひろげ、前半800mを46秒3で通過。その差を保ったまま1000mを57秒6で通過し、3コーナーを回って行く。

 ラスト600m地点で2番手との差を4、5馬身にひろげ、その差をキープしたまま最後の直線へ。

「リードがあったので、大丈夫だと思いました」と吉田。

 ラスト200mを切っても2番手以降とは5馬身ほどの差があった。

 吉田がターフビジョンで後ろとの差を確かめながら右ステッキで叱咤する。

 パンサラッサはそのまま悠々とストライドを伸ばし、追い込んできた2着のカラテに2馬身半の差をつけ、先頭でゴールを駆け抜けた。吉田はこう振り返る

「強かったですね。前に乗ったときより、返し馬しっかりしていると思いましたし、ゲートのなかでもおとなしく、精神的な成長を感じました。自分の競馬ができると本当に強いので、これからもこういう競馬ができて、もっと強い馬に勝てるようになってくれたらいいなと思います」

 ハイペースで逃げて後続に脚を使わせ、最後に自分も鋭く伸びるという、サイレンススズカキタサンブラックが見せたような「最強」の形で重賞2勝目をもぎ取った。

 迷いのない吉田の騎乗も見事だった。

 2着のカラテは末脚勝負に徹し、自身の武器を生かし切った。3着のアドマイヤハダルは、早めに動いて勝ちに行く競馬をしたが、及ばなかった。

 1番人気のダノンザキッドは、出遅れも響いたが、それ以上に、距離がこたえたのではないか。現状では、よさが生きるのはマイルまでなのかもしれない。

(文:島田明宏)

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