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【チューリップ賞】主流の“直行”ではなく前哨戦チューリップ賞を選択したサークルオブライフ国枝調教師の戦略/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2022年03月03日(木) 20時42分
 火曜(1日)朝の美浦トレセン。南スタンドでのんびりしていると、相沢郁厩舎の三尾一之助手が声をかけてきた。

「やぁ。今週のチューリップ賞は土曜? 日曜? ふ〜ん…土曜日か。よし、しっかりチェックしておくとするか」

 相沢厩舎の馬はチューリップ賞には出走しないのだが、三尾さんが注目するのには理由がある。彼が担当するのは1月のGIIIフェアリーSを制したライラック。次走は桜花賞に出走することが発表されているだけに、トライアルのチューリップ賞を意識するのも当然だろう。

 おまけに今年のチューリップ賞は例年以上に粒が揃っている印象もある。近年は前哨戦を使わず、なるべく間隔を空けて本番に臨む“直行ローテ”がトレンドになりつつあり、昨年の桜花賞は阪神JFから直行したソダシが優勝。牡馬部門のエフフォーリアトライアルを使わずに共同通信杯からの“直行”で皐月賞馬となったのだが…。

 今年のチューリップ賞には昨年度の最優秀2歳牝馬サークルオブライフのほか、阪神JF3着のウォーターナビレラ、阪神JFで1番人気に推されたナミュール、2番人気のステルナティーアなど、実力馬がズラリと顔を揃えたのだ。

 ではなぜ直行ではなく前哨戦を使うのか? その理由を国枝栄調教師に聞くと「そりゃあ、本番でいい競馬をするためだよ」と明確な答えが返ってきた。

「肉体面や精神面に弱さを抱えているのなら直行ローテの方がいいケースもあるだろうが、サークルオブライフは体質が強いし、メンタル面でもどっしりとしていて落ち着きがあるからね。休み明けでも動けるとは思うけど、実戦を使った方がより良いパフォーマンスを発揮できると判断しました」

 とはいえ関西馬ならともかく、関東馬にとってチューリップ賞桜花賞と連続の阪神遠征は負担が大きいようにも映る。そんな疑問を投げかけると、トレーナーはひとつのプランを披露してくれた。

「予定ではあるけど、チューリップ賞の後にはそのまま栗東に滞在させることも考えている。輸送を苦にするタイプではないものの、牝馬だし、輸送が続けばナーバスになる可能性もあるから」

 これを聞いて思わず「なるほど」と膝を打った。近年はアーモンドアイアカイトリノムスメなど美浦トレセンで仕上げてGIタイトルを手にしてきた国枝厩舎だが、かつては5冠牝馬アパパネマイネルキッツ(天皇賞・春)で結果を残してきた“栗東滞在”のパイオニア的存在だったからだ。

サークルオブライフの良さ? 性格や顔がかわいいのに加えて、レースに行って勝負根性があるのがいいね。まだまだ伸びシロもありそうだけど、現時点の完成度も高い。ここでいい結果を出して、本番につなげたいね」

 直行ローテが主流の時代に、名伯楽が“伝家の宝刀”を抜いてまで選択した前哨戦への参戦。現時点では混戦ムードにも映る桜花賞戦線だが、サークルオブライフの走り次第では“1強ムード”となる可能性もありそうだ。

(美浦のBE-BOP野郎・藤井真俊)

東京スポーツ

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