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マーベラスサンデーからテーオーロイヤルへ―四半世紀の時を経て天皇賞・春制覇に挑む岡田調教師

デイリースポーツ
  • 2022年04月25日(月) 20時44分
 今週末に開催される天皇賞・春。伝統の長距離戦でG1初挑戦を果たす、注目の上がり馬がいる。4連勝でダイヤモンドSを制したテーオーロイヤル(牡4歳、栗東・岡田)。管理する岡田稲男調教師(61)=栗東=は、節目となる開業20年目に厩舎初のG1制覇に挑戦する。

 指揮官には、忘れられない1頭の競走馬がいる。97年宝塚記念覇者のマーベラスサンデーだ。大沢真厩舎の管理馬だった父サンデーサイレンスの同馬は、古川代津雄厩務員が担当し、当時厩舎の攻め専(主に調教を担当する助手)だった岡田師が調整を任されていた。

 デビュー当初から非凡な素質を示していたが、度重なる故障もあってクラシックは棒に振ることに…。開花は4歳になってからだった。約1年1カ月ぶりの復帰戦となった明石特別は不利があって4着に敗れたものの、そこから怒濤(どとう)の快進撃が始まる。2連勝でオープン入りを果たし、続くエプソムCで重賞初Vを決めると、重賞4連勝で一気に一流馬への階段を駆け上がった。

 数年前、幸運にも岡田師と主戦の武豊騎手から、マーベラスサンデーの話を聞く機会に恵まれたことがある。学生時代に好きで応援していた馬だったので、忘れられない時間になった。

 自在な脚質から扱いやすい馬をイメージしていたが、乗りやすかったのはレースだけで、調教は難しい馬だったという。実戦でしっかり力が出せるように調整していたのが、仕上げ人の岡田助手。名手が「岡田さんのおかげですよ」と、当時を振り返って感謝していた姿が印象的だった。

 2人の間には、多くを語らずとも分かり合える…そんな信頼関係を感じた。若い頃にともに戦ってきた同志だからこそ、生まれた絆だろう。そんな岡田助手を頼りにしていたのは、大沢元調教師も同じだった。「“マーベラスサンデーのことなら岡田に聞いて。アイツが全部分かっているから”って言ってくれていてね。あれはうれしかったな」。自らを認めてくれた師匠の言葉は、今でも強く胸に刻まれているという。

 同馬で臨んだ97年の天皇賞・春は、マヤノトップガンサクラローレルの3強対決で3着に敗れた。岡田助手は02年に調教師免許を取得し、翌年開業。厩舎としては09年ヒカルカザブエ(7着)以来、2度目の挑戦だ。助手からトレーナーへと自らの立場は変わったが、信頼できるスタッフ、成長を続ける弟子の菱田騎手らとともに、厩舎一丸となってチャレンジする姿に変わりはない。

 4連勝で勢いに乗ってG1に駒を進めてきたテーオーロイヤルは、破竹の連勝劇でG1戦線に向かっていったマーベラスサンデーとどこか重なる部分を感じる。四半世紀の時を経て、ヒカルカザブエなど、これまでの数々の経験を力に変えて春盾のタイトルをつかむ-。そんな岡田師の姿を楽しみにしたい。(デイリースポーツ・大西修平)

提供:デイリースポーツ

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