マイネルファンロンが
AJCCに出走する際、当欄でハードトレの効果で体が絞れれば激走があっても…と取り上げたが、レース当日、ふたを開けてみると予想外のプラス4キロ。デビュー以来最高体重の490キロだった。さすがにこれでは厳しいと思い、馬券は見送ったが、結果は11番人気の低評価をあざ笑うかのような2着激走。今年一番の悶絶となってしまった。
いつ激走するのか、判断が非常に難しい気分屋。さすがにGIでは連続好走は厳しいかと今回も見送る予定だったが…ウッドコースの1週前追いで考えが変わった。単走とはいえ、最近ではめったに見られない7ハロン追い。直線もビッシリ追われてラスト1ハロン11.8秒をマーク(7ハロン96.5秒)。前走以上に攻めた内容だ。この強烈な追い切り後、さっそく矢嶋助手に
アタック。
「(手塚)先生は天皇賞仕様と言っていましたけど負荷のかかったいい稽古ができたと思います。以前は力んで制御が利かないところもあったけど、今は落ち着いて調教もしやすいですね。前走は松岡ジョッキーもうまく乗ってくれたし、この馬のことをよく分かってくれていますからね」
前走時、大村助手も「松岡騎手も手の内に入れたと言っていたので」と語っていた。馬体が絞れていなくても激走できた要因は、鞍上によるところが大きいのでは…。
本人を直撃すると「一回ひっかかるとハミが抜けないところがあるので、折り合いを重視して運べれば、と思っていたけど、考え方は合っていましたね」
今回(
天皇賞・春=阪神芝外→内3200メートル)は初の3000メートル超えとなるが、「2500メートルぐらいまでなら大丈夫だけど、3200メートルはさすがに長いかな。でもスピードが重要視される今の時代で、3200メートルが合うように生産されている馬はいないですからね」
この言葉通り、この距離がベストの馬は一頭もいないとなれば、他馬よりマイナスと考える必要はない。
松岡は
ファンロンと同じ
ステイゴールド産駒の
ウインブライトで海外G1を2勝挙げているが、産駒の特徴について本人は「筋肉が柔らかくて運動効率がいいから乳酸が上がりにくい」過去10年で4勝と産駒の活躍が目立つ要因は、この長所に表れているのだろう。
となれば、残る懸念は前記の馬体重になるが、「体は絞れていた方がいいですね。でも稽古には乗っていないけどスッキリして見えるし、大丈夫でしょう。色気はありますよ」
松岡が前回春の天皇賞を勝ったのは09年
マイネルキッツ。その後は何度かの大けがもあり縁遠いGIになってしまったが、今年は不屈の男のカム
バックの気配がプンプン。再びマイネル軍団の勝負服で激走に導く姿に今からワクワクしている。
(美浦の執念の追跡野郎・松井中央)
東京スポーツ