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ホウオウアマゾンとパンサラッサで“勝負の6月”に挑む大ベテラン・矢作厩舎の池田康宏厩務員

デイリースポーツ
  • 2022年05月31日(火) 18時10分
 ダービーが終わり、上半期のG1は、今週末の安田記念(6月5日・東京)と、宝塚記念(6月26日・阪神)を残すのみとなった。そんな2つの大一番を前に燃える大ベテランがいる。矢作厩舎の池田康宏厩務員(63)だ。自らの担当馬であるホウオウアマゾン安田記念パンサラッサ宝塚記念にチャレンジする。

 昨年のアーリントンC覇者ホウオウアマゾンは、過去3度G1に参戦し、昨年のマイルCS5着が最高。昨年末、矢作師が「来年はこの馬と大きなところを獲りたい」と高く評価していたように、確かな能力を持つ4歳馬だ。東京は2戦2敗だが、左回りの中京マイルで勝ち鞍があるように、決して条件が合わないとは思えない。精神面の影響が大きく、力が出し切れていないだけだろう。

 マイラーズC2着後、話を聞かせてもらった。前走も輸送距離の短い阪神でのレースだったが、競馬場に着いた直後はイレ込んだのだという。ただ、そこからが腕利き厩務員の真骨頂。30分間引き運動をして体を洗ったところ、スッと落ち着きを取り戻したそうだ。

 ここが私が池田さんをすごいと感じるところ。半世紀近い厩務員のキャリアで培われた数々の“引き出し”を持っていて、そこから馬の状況に応じ、最も適した対応策を選ぶことができる。数年前、矢作師も感心しながらこう話していた。「正直、今回は厳しいかなって馬がいたんだよ。けど、さすがやっちゃん(池田康宏厩務員)だよな。きっちり戻してきたもんな」。指揮官も驚く、ベテランならではの調整術が、そこにはある。

 「本番までにいろいろと確認できて良かった」と収穫十分の様子で笑っていた池田さん。東京に変われば異なる面もあるはずだが、まだまだ策はありそう。金曜輸送のプランもあるとのことで、府中での2度の敗戦を糧に、万全の状態へ仕上げてくるに違いない。

 もう一頭の担当馬パンサラッサは、今年の春にドバイターフをV。人馬とも初のG1制覇を海外で達成したばかりだ。宝塚記念に挑む5歳馬についても、「パンサラッサはコーナリングがうまいし、内回りなら何とか距離も持つと思う。安田記念宝塚記念と6月は忙しくなりそうやね。まあ、見ておいてよ」と腕まくり。頼りになる相棒たちとともに、次は国内のG1タイトルを狙っている。

 来年7月には自らの定年が迫る。「この年齢になって、こんなにいい馬やらせてもらって、本当にありがたいね」と常々感謝を口にしている池田さん。厩務員人生もいよいよラストスパート。新たな夢の実現に向けて奮闘する人馬の“勝負の6月”を、しっかりと目に焼きつけたい。(デイリースポーツ・大西修平)

提供:デイリースポーツ

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