8月2日は男勝りの活躍で重賞2勝(2010年
日経新春杯、
京都大賞典)を挙げた
メイショウベルーガが昨年、天国へ旅立った日である。その産駒は19年の
弥生賞を制した
メイショウテンゲン、今年の
阪神牝馬S勝ちの
メイショウミモザなどが現役で活躍中。そんな中、
メイショウベルーガ最後の産駒となる
メイショウネムノキ(牝=父
ロードカナロア・池添兼)のデビューが日曜(7日)札幌芝1800メートル新馬戦に決まった。
前出
メイショウミモザもデビューは8月の札幌(芝1500メートル)。その戦績を改めて振り返ると、初勝利は翌年6月と相当な遅咲きだったわけだが、その未勝利戦→1勝クラス→2勝クラスと一気の3連勝を決めたのもまた、この夏の北海道シリーズだった。
管理する池添兼調教師といえば、毎年のように管理馬を大挙函館に入厩させることで知られている。今年も5月末の開場から続々と入厩が進み、函館開催初日には
メイショウネムノキの半兄
メイショウホーコンが所属馬としてのトップバッターを務めた。滞在して陣頭指揮を振るうトレーナーの姿は、もはや函館の風物詩と言ってもいいほどの絵になる光景だ。
そんな池添兼調教師は来年2月いっぱいで定年を迎える。そう、
メイショウネムノキは
メイショウベルーガ最後の産駒にして、師にとっても最後の世代となるのだ。
「引退して他(の調教師)に渡るころに良くなるんじゃないですかね」と冗談か、本音か、判別しにくい切り出しだったが、「
ベルーガの子はやはりおくて。現状ではまだ緩さがあるけど、先々は必ず良くなってきそうですよ」と続けた言葉からすれば、やはり遅咲きの活躍をイメージしているのだろうか?
6月17日に牧場から直接、函館競馬場入りして、7月1日にゲート試験に一発合格。その後も順調に調整を重ねてきたのだが…。芝でビッシリ追われた21日の追い切りでは5ハロン64.8-12.8秒と時計こそ及第点だったものの、併せた古馬1勝クラスに3馬身も後れを取ってしまった。その後に疲れも出たため、開催2週目(7月30、31日)のデビューではなく、最終週の今週にズレ込んだ経緯が…。それだけに師の実子である
池添謙一が手綱を取る予定の最終追い切りで、母はもちろん、兄姉の主戦も務めた男がデビュー戦へ向けていかなる感触をつかむのかが一層、注目される。
「
ロードカナロアの子の割には胴の長い独特な体形をしていて、短距離向きではない。母の
ベルーガに近い感じでしょうか。初戦からというタイプではないので、自信があるかと聞かれれば、あるとまで言えないけどね。
ベルーガの最後の子だし、できれば北海道で勝って恩返しをしたい気持ちもあります。幸い疲れも取れて、出走自体は問題なさそう。楽しみにはしていますよ」
池添兼調教師はともに長い歴史を刻んできた
メイショウベルーガの忘れ形見に、調教師としての自身の歩みも重ねている。ちなみに「ネムノキ」は日が暮れると葉を閉じることで知られるマメ科の植物。短い盛夏に入った北の大地で、いきなり花開く姿を大いに期待したいものである。
(立川敬太)
東京スポーツ