2019年のリンゾウチャネルに昨年のラッキードリームと、ホッカイドウ競馬では立て続けに3歳3冠馬が誕生した。そして今年もまた、北斗盃・北海優駿を制し、その可能性を持つ馬があらわれた。シルトプレがこの王冠賞を勝てば、2年連続で偉業が達成されることになる。

　そして実際のところ、その可能性は相応に高い。前2戦の勝利は、紛れもなくこの馬の実力によるものであり、同じメンバー・同じ条件で再びレースをやり直せば着順が逆転するような類のものではなかった。能力の高さは言わずもがな、この馬のいいところは、展開や流れに左右されない自在性だ。今回のメンバーは先行タイプが揃っており、消耗戦に近い流れも想定されるが、それにもそつなく対応できるだろう。

　ただ、3冠を目前にして敗れたスティールキングやベンテンコゾウなどの例もある。当然、他の可能性も想定しておかなければならない。

　もしシルトプレを負かすとすれば、別路線から参戦してくる未対戦の馬ではなかろうか。その中で筆者は牝馬カーロデスティーノに魅力を感じる。前走は古馬B2クラスで骨っぽい相手だったのだが、逃げ馬を執拗にマークして自らハイペースを作り出し、上がりのかかる展開に持ち込みながら後続の追撃を振り切った内容は秀逸である。410キロ台の小さな馬体に秘めたこの豊富なスタミナは、想定される消耗戦でフルに生きるのではなかろうか。

　その他にも、ともに3連勝中で勢いのあるフクノアルズやサンオークレアなど、例年になく、別路線組から力のある馬が出走してくる。もちろん、北斗盃・北海優駿でシルトプレの後塵を拝してきたエンリルやマナホク、あるいはボニーマジェスティといった馬たちとて、反撃するための策を練って燃えているはず。今回はかなりメンバーが揃った印象で、駆け引きを含めた激しいレースになりそうである。シルトプレの3冠を巡る争いがどう決着するのか、楽しみにしたい。

(文:競馬ブック・板垣祐介)

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