今年3月に開業した
蛯名正義調教師にとって、現2歳はいわゆる他厩舎からの転厩馬などではない、生粋の蛯名正厩舎所属として競走馬生活をスタートさせる最初の世代となる。次週の新潟では3冠牝馬
アパパネの子
アスパルディーコ(牝=
父ブラックタイド)がスタンバイして話題を集めているが、今週日曜(21日)の札幌芝2000メートルでひと足先にデビュー予定なのが
インスタキング(牡=父
エピファネイア、
母アガサ)である。
蛯名正厩舎には騎手時代から関わりが深く、技術調教師としても研さんを積んだ藤沢和厩舎(今年2月で解散)の所属馬が多いのはもちろん、同時に移籍してきたスタッフも数多くいる。その一人であり、藤沢和厩舎時代は名牝
グランアレグリアの調教パートナーを務めてきた大江原助手は「藤沢(和)厩舎がそうだったように、古馬にいい先導役がいてこそ2歳、3歳馬も成長していきます。だから今の2歳がしっかり成長して、いい古馬になって厩舎を引っ張っていけるように、スタッフみんなで頑張っていきたいですね」と厩舎の将来を見据えて現2歳の仕上げと成長に精魂を込めている。
そんな厩舎の期待を背負ってデビューする
インスタキングは490キロという雄大な馬格の持ち主。先週は函館芝で古馬1勝クラスの
シルバースピリットを相手に手応え優勢のまま追走併入を果たしてみせた(5ハロン68.6-11.7秒)。
「(美浦から函館への)輸送中もカイバを食べてくれたし、水もよく飲んでいました。こっちの環境にもすぐに慣れて、1頭でもきちんと調教ができるくらいです。美浦では暑さもあって、さほど速い時計は出してきませんでしたが、乗り込み量としては十分。長く脚を使えそうなタイプで力強さもある。洋芝の2000メートルは合う条件だと思います」(大江原助手)
ちなみに
インスタキングを担当するのはこちらも元藤沢和厩舎の所属でダービー馬
レイデオロを担当していた本間助手。「まだ緩いところは残っていますけど、跳びが大きいし、素質はいいものがあります」と確かな手応えを感じている。
週末にはすでに札幌へと移動。直前の追い切りには蛯名正調教師と同期タッグとなる
武豊が騎乗して感触を確かめる予定になっている。藤沢和厩舎から継承された匠(たくみ)の技術とレジェンドの手綱さばきが、蛯名正厩舎の躍進に花を添えてくれそうなムードだ。
(立川敬太)
東京スポーツ