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【セントウルS】前走北九州記念5着も…モントライゼに復活の光/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2022年09月09日(金) 18時01分
「ああいう競馬ができたことが本当にうれしかったですね」

 これはセントウルS(11日=中京芝1200メートル)に臨むモントライゼの前走、北九州記念のレース内容を振り返っての松永幹調教師の言葉だ。重賞勝ち実績のある実力馬が、ギリギリ掲示板に載る5着で喜んでいるのはいかがなものか。

 いやいや、長いスランプに苦しんだモントライゼの蹄跡をたどれば、復活の光明が差した前走がいかに収穫のあるレースであったかがうかがい知れる。

 新馬戦こそヨカヨカの2着に敗れたものの、続く未勝利戦では大差勝ち。そして小倉2歳S2着→京王杯2歳S優勝と非凡なスピードを武器に順調な歩みを進めていたモントライゼが、明らかな課題を突き付けられたのが朝日杯FSだった。

 いつものごとくスタートダッシュの鋭さでポジションを取りにいくも、勢いがつき過ぎたところで抑えが利かなくなり、道中は大逃げの格好。

 当然のごとくゴール前で失速して10着に敗れてしまう。名手ルメールをもってしてもペース判断を誤るほどスピードが勝ち過ぎた面が露呈したことで「距離の壁」を懸念せざるを得ない事態に。さらにはレース前から気持ちが乗り過ぎてしまう課題が解消されるどころか、ますます強くなってしまっては…。

 もちろん、陣営もパドックでホライゾネットを着けることでイレ込みの軽減を図るなど、あらゆる工夫を凝らした調整法などで対策を講じたものの、一度狂い始めた歯車がなかなかかみ合わないのは世の常。普段は落ち着いていても、レースにいけば一気にスイッチが入ってしまう。そして馬が自分からやめてしまうことを覚えてしまったのか、2桁着順が続くことに…。

 成績だけを見れば「早熟」の一語で片付けられてしまうのかもしれない。しかし、調教での動きの素晴らしさを見るにつけ、それがレースで生かせない歯がゆさと、キッカケひとつで復活もあるとの思いをトレーナーは募らせていたのだ。

「ガーッと行って最後はやめてしまうような嫌な負け方が続いている。極端な競馬をする必要があるのかもしれません。ただ開幕週の競馬で勝ちにいくには、ある程度ポジションを取りにいかなければならないでしょうし…」と迷いながらの参戦だったのが前々走のCBC賞
 
 スランプ脱出のためには荒療治が必要であることを示唆していたレースで17着惨敗を喫したことで、腹をくくって臨めたのが前走の北九州記念だったのである。

「馬場が荒れてきたことで差しが決まりやすくなっていたのも良かったんでしょうが、しまいはいい伸びを見せていましたよね。“4コーナーでは突き抜けるのではというほど手応えがあった”とジョッキーは話していました。何より最後まで馬が諦めずに走っていたのが大きい。ようやく先の展望が開けたというか、キッカケをつかめたように思うので、あのレース内容を今回へとつなげていくことができれば。無理に位置を下げる必要まではありませんが、出たなりの位置で前半は脚をため、最後に脚を使えるようなら」

 松永幹調教師は開幕週で先行有利の馬場状態であろうとも、リズム重視の競馬にこだわる姿勢を見せている。

 蛇足ではあるが、前走のパトロールビデオを見返すと、ゴール前でジョッキーがステッキを落とす場面が確認できる。
 
 もちろん、それがなければ着順はもっと上がったと安易に判断できるものではないが、ステッキを入れるまでもなく、モントライゼがゴール前で自らもうひと伸びしようとしていたことを示す事象ではあったのでは。

 決して早熟馬とは言わせない、諦めない走りを今回も見せてくれることを期待している。

(栗東の月旅行野郎・石川吉行)

東京スポーツ

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