GII
セントライト記念(19日=中山芝外2200メートル)は、ひと夏越して秋を迎えた3歳馬同士の戦い。夏を充電に充てたり、夏も稼働して地力強化に励んだりと、いろんな過ごし方があるが、報道陣からの定型パターンとなっている質問といえば「ひと夏越しての成長は? 」。
1週前追い切りを終えた各陣営にも、このお約束の質問が飛び、
アスクビクターモア=田村調教師「精神的に成長している」、
オニャンコポン=小島調教師「パワーアップしている」と春からの良化度を強調していた。そんな中で個人的に最も“成長度”が気になっていた馬といえば
ローシャムパークだ。
2月東京の未勝利戦→4月中山の1勝クラスを連勝。特に現地観戦していた
山藤賞のレースぶりは圧巻だった。「この馬のリズムで走って、この着差ですからね」と田中博調教師。つまり、走りたいように走っただけで2着に1秒1差の圧勝。向正面で一気に先頭に立つ粗削りな競馬は決して優等生の走りではなかった半面、スケールの大きさを感じずにはいられないものだった。
注目の1週前追い切りは南ウッド3頭併せの2番手から併入して5ハロン68.7-12.2秒。動きや時計に派手なアピールはなかったものの、その内容を田中博調教師は高く評価する。
「前に馬を置いたシチュエーション。うまく我慢が利いていたし、後ろを待って
ファイトしてくれたことで、相応の負荷もかけられた」
こうした内容のある追い切りが消化できたのは気性面の成長ゆえ。「気持ちが穏やかになっていますね。そのおかげで心肺機能の向上など中身が整ってきた点も見えやすくなってきました」とトレーナー。そう、春は実戦だけでなく、調教でも加減できない感じだったのだが、「今はこちらの手の内で負荷をかけられるようになっている。これなら(レースに向けて)もうひと負荷かけることができそう」と調整過程にも大きなプラス
アルファが見込めるようになってきた。
「過去2戦は雑なレースで勝ってきたので、今回は丁寧な競馬をするイメージで。気持ちのコントロールがカギになるが、中間の感じからはうまく対応してくれそうだね」
メンタルの成長により、もう一歩踏み込んだ調教が可能になったことで、レースでの走りのリズムもより良くなる。まさにさまざまな相乗効果が見込めるとなれば…。
3歳世代の勢力図を一気に塗り替える可能性すら秘めている
ローシャムパークが、どれだけ
スケールアップした走りを見せてくれるのか、今から楽しみでならない。
(美浦の両刀野郎・山口心平)
東京スポーツ