◆第56回
スプリンターズS・G1(10月2日、中山・1200メートル)
秋のG1開幕戦となる
スプリンターズS(10月2日)は、6ハロンの電撃戦。「母を訪ねて〜母系血統チェック」では
トゥラヴェスーラ(牡7歳、栗東・高橋康厩舎)に注目した。母の全姉は2007年の
スプリンターズSを一気逃げで制した
アストンマーチャン。競走馬として活躍中に病気で死んだ“伝説のス
プリンター”の血が大舞台で騒ぐか。
トゥラヴェスーラの3代
母フィールディはアメリカの芝重賞を4勝した実力派。そして何よりも際立つのは、
母ジャジャマーチャンが2007年の
スプリンターズSを勝った
アストンマーチャンの4歳下の全妹であることだ。
アストンマーチャンは
ウオッカや
ダイワスカーレットと同世代。当時は栗東・石坂正厩舎に所属し、ス
プリンターとしての素質を存分に発揮していたが、08年2月の
シルクロードS(10着)後に、原因不明のX大腸炎で悲しい最期を迎えた。それだけに当時、担当していた上田和也助手(現在は栗東・田中克厩舎)は「やっぱり気になるよね。陰ながらいつも応援してますよ」と、その血を受け継ぐ
トゥラヴェスーラにエールを送る。
ジャジャマーチャンは、偉大な姉と同じく石坂正厩舎からデビューを目指したが、体質が弱く競走馬になれなかった。上田助手は「
アストンマーチャンのことがあったし、この血統を残したいから無理せず繁殖にあげようって感じだったと思いますよ。貴重な跡継ぎだからね」と懐述。
アストンマーチャンは4歳4月に志半ばでこの世を去っただけに「7歳まで走ってくれてるのもうれしいよね。それもマーチャンと同じス
プリント路線で。頑張ってほしい」と自身の担当馬のように話す。
トゥラヴェスーラを管理する高橋康調教師は「お父さんが
ドリームジャーニーで結構、神経質な配合だと思うんですが、うまく走る方にかみ合った感じですね。馬群を怖がらないし、勝負強いところはコンマ何秒差の争いでは武器になる。それもG1ならなおさらです」と愛馬に信頼を寄せる。
アストンマーチャンを輩出した牝系の絶対的なスピード力は大舞台でこそ不気味だ。(玉木 宏征)
スポーツ報知