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【武蔵野S】矢野厩務員が渾身の勝負仕上げハヤブサナンデクン いざGIへ!/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2022年11月10日(木) 18時01分
 勝負の世界では験を担ぐ人が多い。競馬でも、馬運車のドライバーを指名する関係者も珍しくはない。吉村厩舎の矢野賢一厩務員はこの道41年の大ベテラン。新川恵厩舎在籍時はマキハタサイボーグアラタマインディ、吉村厩舎ではクイーンズリングなどを担当。多くの重賞馬を育ててきたが、そんな矢野さんが「運転技術が違う」と絶大な信頼を寄せているドライバーがいる。鷹野運送の神原健さんだ。

 神原さんは以前は配送業をしていたが縁あって1994年にこの世界に。これまでテイエムオペラオーディープインパクトオルフェーヴルなど数々の名馬たちの馬運車のハンドルを任されてきた、プロ中のプロだ。

「僕らはよく一送入魂って言います。今の馬運車はモニター、エアコンがついていて馬の状況を把握しやすいけど、入った当初はそんな装備はなく、アクセルワーク、クラッチ、ブレーキ、温度調整など、常に気が張りつめていましたね。とにかく馬にストレスを与えないよう緊張の連続でした」と神原さん。その丁寧な仕事ぶりが名馬誕生の下支えになっていたと言っても大げさではない。

 その神原さんは来年1月で定年を迎えるため、勤務は今月末まで。担当馬ハヤブサナンデクン武蔵野S(12日、東京ダート1600メートル)出走に際し矢野厩務員は今回も指名を入れたが、このコンビでの競馬は残り少ない。

「矢野さんとは28年ちょっとの付き合い。新川厩舎のときからよくしてもらってクイーンズリングが初めて重賞を勝ったとき(15年フィリーズR)も運ばせてもらったからね。矢野さんとの一番の思い出はラストランの有馬記念(2着)かな。負けたけど、優勝したキタサンブラック大阪杯、春の天皇賞の2度目を制したときに運ばせてもらっていて縁を感じた。クイーンズリングはかわいくて輸送もすごくおとなしかったね」と神原さん。

 一方、16年エリザベス女王杯を制したときは神原さんはケガをしていて矢野さん悲願のGI初制覇には携われなかっただけに今回は自然と気持ちも高まっている。

 神原さんは「まずは無事に届けるのがボクの仕事。そのうえで結果が出れば言うことがないですね」と話すが、矢野厩務員は「前走(シリウスS7着)は久々もあって少し苦しい感じがあったけど、今は落ち着きがあって馬体の張りが違うからね。長年お世話になった神原さんの引退に花を添えたい」。今回は渾身の勝負仕上げと断言する。

 矢野厩務員が「相棒」と呼んで数々のビッグレースをともに制してきた神原さんとのコンビ。ここでハヤブサナンデクンが勝って次走がGIチャンピオンズC(12月4日)となると…矢野さんは間違いなく神原さんをドライバーに指名するはず。神原さんは来月は有休消化中だが、矢野厩務員とのGI勝利のためにもう一度トライしたい気持ちもあるはず。12月の有休を1日返上し、もうひと仕事して引退というストーリーを当方は夢想している。

(栗東の名コンビ心酔野郎・難波田忠雄)

東京スポーツ

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