兄姉に
ヴィルシーナ、
シュヴァルグラン、
ヴィブロスとGI馬がズラリと並ぶ超良血馬
グランヴィノスのデビュー。先月10日の阪神芝内2000メートル新馬戦が多くの競馬ファンの注目を集めたのは言うまでもない。
結果は
グランヴィノスが単勝1.3倍の圧倒的支持に応えて鮮やかな差し切りを決めたわけだが…。この超良血馬と0秒2差以内の手に汗握る攻防を繰り広げた2、3着馬の頑張りもまた見逃せない。実際、2着
セレンディピティは次走の未勝利戦(今月12日)で4馬身差の圧勝。その
セレンディピティのハナ差3着
ティムールもまた次走の未勝利戦(10月29日)を順当勝ち。この
ティムールこそが、GIII
京都2歳S(26日=阪神芝内2000メートル)にスポットを当てた本稿の主役である。
中竹厩舎のスポークスマン・柴田助手は「他馬を気にするところが若干ありましたが、2番手でしっかり折り合えたし、最後まで粘り強く走ってくれました」と初戦を振り返ると同時に、このハイレベルな一戦を経験したことで「馬に落ち着きが出ていたし、装鞍所から本当にいい雰囲気でしたね」と次走快勝につながったことを強調した。
そのレースぶりを振り返ってみると、序盤は後方に置かれたものの、直線では四肢をダイナ
ミックに伸縮する豪快なフットワークで馬群をあっという間にすり抜けてみせた。ゴール板では鞍上が手綱を緩める余裕すらあったほどなのだから、短期間で見せたその急成長ぶりはハンパではない。
昨年の
エリザベス女王杯を制した
アカイイト、重賞3勝の
ビアンフェと代表的な現役
キズナ産駒2頭を擁する中竹厩舎。しかし、恵まれた馬体を誇り、パワータイプとして鳴らす先輩2頭に対して、サイズはもちろん、「母父タピットが出ているのか、柔らかい走りが特徴」(柴田助手)の
ティムールはまったくタイプが異なる。調教パートナーを務める三渕助手の見解もまた同様。そして現状は未完成の面がまだ多いのだという。
「入厩当初からフットワークの良さは感じていたけど、なかなか体力がついてこなかったので夏場に一旦、放牧に出したくらいでした。だいぶ成長して帰厩しましたが、まだトモが弱いので坂路では動き切れていないですね。ウッドではだいぶ動けるようになってきましたが…」
素材の良さは認めながらも、まだまだ成長途上であることを強調する。裏を返せば「心身ともに幼さが残る中でも、あれだけ走れているのだから能力の高さは間違いない」。つまり、伸びシロはまだまだあり。2戦目に見せた急成長を、再び見せてくれる可能性も十分あるというわけだ。
その兆候は早くも見せている。ウッド長めからの1週前追い切りでは躍動感にあふれたフットワークで古馬相手に馬なりのまま堂々、先着を果たしてみせた(7ハロン98.5-12.2秒)。
「レースが近づいてきていることを察しているのか、いい意味でスイッチが入ってきましたね」(三渕助手)
初戦で0秒2後れを取った
グランヴィノスと再び相まみえる今回、その成長力でリベンジを果たすことができるのか、要注目だ。
(鈴木邦宏)
東京スポーツ