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昨年から実施の「競走時間帯の拡大」 今年から中京競馬にも導入した理由は?

  • 2025年08月07日(木) 12時30分
 今夏も最高気温は40℃前後に達し、近年の暑さはまさに“災害級”といえる。8月に行われる夏の甲子園でも「2部制」が導入され日中の試合実施を避けるなど、スポーツ界でも暑熱対策が進む。中央競馬では昨年から、「競走時間帯の拡大」が始まり、12時から15時ごろの特に気温が高い時間帯のレース開催を見合わせる取り組みが始まった。効果のほどや、今年から中京競馬場にも制度を拡大した理由とは。JRAに話を聞いた。

 一般的に熱中症は暑さ指数(WBGT値 ※注)が「28」を超えると発症率が上昇するとされており、競走馬総合研究所の調べでは、ウマにも同様の傾向がみられるという。昨夏の新潟競馬においてWBGT値を測定したところ、競走時間帯の拡大をすることで、通常の発走時刻で競馬開催をした場合と比較して、約15%も暑さ指数28以上の時間帯を減らすことに成功。「競走時間帯の拡大」を行った開催を含む、第2回新潟競馬(24年7月27日〜8月4日)で熱中症と診断された馬は、出走677頭のうち1頭だった。以上の結果から、「気象状況は年度により大小はあるが、WBGT値に基づく対策効果が期待できる」とJRAの担当者は話す。※暑さ指数=湿度、日射・輻射など周辺の熱環境、気温の3つを取り入れた指標。

「競走時間帯の拡大」は各方面から一定の評価を得ているようだ。新潟競馬場でファン約6000人から得たアンケート結果によれば、実に約97%が暑熱対策に肯定的な反応。実施期間については、適切と答えた人が45%、延長を望む声も47%あった。騎手からは「後半のレースは明らかに涼しい。暑い中で走るはずだった馬を救えているのはいい」や「特に乗鞍が多いときなどは、途中で体を休められるのは快適」。厩舎サイドからは「下見所周回時間の短縮は、人馬の負担が格段に軽減された」との声。いっぽうで、騎手から「中休みを挟み、間延び感が出るため、集中力の維持やウォーミングアップ(筋肉を冷やさない)について、工夫が必要」との意見も。また、調教師や騎手の他場への移動が困難になる、厩舎スタッフのトレセン帰着が深夜遅くになるなどの課題も出た。

 改善点はあるものの、一定の効果を上げたことから、今年からは期間延長したうえで、中京競馬にも「競走時間帯の拡大」を取り入れた。JRAは「3歳未勝利の編成終期であることや、2歳重賞に向けて新馬・未勝利を出来る限り実施したく、番組編成上は3場開催が望ましい」と難しい実情を明かし、「暑熱対策と円滑な出走を両立させるため、西主場の中京でも実施を決めた」と説明。「競馬開催を円滑に実施するにあたり、東西トレセンからのアクセス等も踏まえ総合的に勘案した結果、中京が望ましいと判断した」と明かした。

 昨年の実施結果を踏まえ、改善した点もある。休止が3時間におよび、ファンから休憩用の座席を求める声が多かったことから、新潟競馬場スタンド内の座席数を2000席から2300席に増設。約100席ある空調付き大型テントも設置した。中京競馬場では同規模のテントに加え、約10席の小型の空調付きコンテナを各2基置くという。さらにはアイスや涼感グッズのプレゼント、各所へのミストファン設置などで、来場者が快適に過ごせるよう工夫した。

 JRAは「昨年の競走時間帯の拡大について、お客様や関係者のご理解、ご協力のおかげもあり、円滑な競馬開催を大きく妨げる要素はなかった」とコメント。いっぽうで、「各所にご不便・ご負担をおかけした部分があることも承知しており、継続的に改善を検討をしているところ」とも語った。8月も厳しい暑さが続くと思われるが、人馬とも無事に競馬開催が続くことを願うばかりだ。

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