中東情勢の不透明さが困惑を招き、
ドバイ遠征を予定していた馬が続々と辞退を申し出ている。いち早く回避の意向を示した
高野友和調教師(50)=栗東=は「馬とスタッフの安全が担保できない状況で、そこへ送り出すことはできないです。競馬は平和の下でやるものですから」と力強く説いた。
「過去にテレビでその年の目標を聞かれて、真面目に『世界平和です』と答えました。何言ってるの、みたいな空気が流れましたけど、本気でそう思ってます」と人一倍平和への思いが強い高野師。「レースは他にもありますから」とプランを練り直し、納得のいく舞台に送り出す構えだ。
ドバイワールドCデーを4週間後に控えた2月28日、UAEのメイダン競馬場にモハメド殿下が来場し、“スーパーサタデー”と呼ばれる前哨戦が大いに盛り上がった。
ドバイターフへ
ガイアフォースを送り出す予定の
杉山晴紀調教師(44)=栗東=は「殿下も(主催者の)
ドバイレーシングクラブも
ドバイミーティングを成功させようとする強い思いを感じます」と語った。今月13日にはミサイル攻撃の可能性を示唆する
アナウンスが競馬場内に流れた。直接的な被害こそなかったが、状況は刻一刻と変化するだけに「情勢はしっかり注視していきます」。ギリギリまで状況を見極めていく方針だ。
可能ならば出走させてあげたい-その思う理由の一つは前回の悔しい経験があるからだろう。
ガイアフォースにとって初の海外遠征となった昨年の香港の
チャンピオンズマイルは9着に敗退。ただ陣営には、これが同馬の実力ではないという思いがあったようだ。
担当の小川雅之厩務員(63)は諸事情で香港に帯同できなかったが「すごく繊細な馬で、全くカイバを食べなかったんです。身体も減って、状態の維持だけでもやっとでしたね」と振り返る。あらゆる環境の変化に戸惑った結果での敗戦。今回も中東情勢の影響で帯同するかは未定ながら「前回の経験からいろいろなことが想定できますね」と、前回の借りを返すために万全の態勢を整えている。杉山晴師も「海外への遠征は2度目。今回はそこのアドバンテージを生かしていきたいです」と力強く語る。
それぞれ陣営の思惑はあれど、どんな判断をするのにも一筋縄には行かない状況。SNSではさまざまな声が上がっているが、“これが正解”というのはないのが正直なところだろう。海外の強豪に一丸となって挑む
チームジャパンのメンバーが減っていくのは悲しいが、仕方のないこと。馬券発売も取りやめとなり、我々競馬ファンにできることは陣営の判断を尊重し、声援を送ることだけだ。現地の戦火が早急に終息すること、そしてレースが開催されるなら無事に全てが執り行われることを祈りたい。(デイリー
スポーツ・安藤瞭太)
提供:デイリースポーツ