矢作芳人調教師(65)=栗東=が北海道の真狩村に作った競走馬用の外厩施設「真狩
サマーステーブル」と併設する「コテージエクリプス」が開業4年目を迎えた。
コントレイル、
リスグラシュー、
ラヴズオンリーユーと師が育てた名馬の名前がつけられた3棟。羊蹄山の麓にある、一面を緑に囲まれた広大な大地につくられた“拠点”に込められた熱い思いに迫った。(取材・構成=山本武志)
そこには矢作調教師の“理想郷”があった。札幌から車で約1時間半。北海道開催のある夏場は、愛馬たちが牧歌的な雰囲気の中で癒やしの時を過ごす。その横に
コントレイル、
リスグラシュー、
ラヴズオンリーユーと、師が手がけた名馬たちの名前をつけた3棟のコテージが並ぶ。「前から何度も真狩に来て、すごく落ち着ける静けさを感じていた。馬には絶対いいと思っていました」と説明する。
目指す形には続きがある。新たに土地を買い足し、この場所に管理した馬を中心にした養老牧場を作ることだ。「ファンも集まってくれるだろうし、地元貢献にもつながる。それが馬への恩返しにもなる。余生を過ごすには最高の場所。俺は自分自身にも当てはめたところはある」と定年まで約5年半の
トレーナー。豪雪地帯であることなどの懸念材料も踏まえつつ、実現への道を見据える。
コテージは競走馬のいない9月から翌年5月まで営業。上質な雪が多い留寿都村とニセコ町の間にあり、冬は
スキーヤーに大人気だ。ただ、矢作師の胸には強い思いがある。「もっと競馬ファンにも来てほしいな」。各棟では、その馬がもらった数々の
トロフィーや絵画などを展示。栄光の軌跡に間近で接することができる。「色々な人に見てもらいたい。見てもらうことによって、その人の記憶にとどめてもらえるからね」と口調は熱を帯びた。
各棟に特注の馬名入り今治タオル(持ち帰り可)があるなど、細部のこだわりも強い。価格は安くないが、春や秋は冬より多少お手頃な設定だ。「馬券でもうけたご褒美とか、仕事で頑張ったご褒美とかで来てほしいね」と矢作師は笑顔。名馬たちを独り占めできる大人のぜいたくな競馬ツアーは、いかがですか。
○…外厩施設の「真狩
サマーステーブル」は、広い北海道内を輸送する際の大事な中継地点となっている。「例えば浦河から函館まで輸送しようと思えば8時間かかったりする。最近の暑さも気になっていたから」と矢作調教師。車で札幌から約1時間半、函館から約2時間半の立地は絶好の条件だった。
2厩舎で20馬房。ここでの目的は“回復”だ。1台ずつ設置されている
ウォーキング
マシンや
トレッドミルで軽い運動を行いつつ、静かな空間で自然と疲れがとれる。場内で湧き出る軟水も、体のケアに一役買う。
「神経質な馬や細くなりがちな馬にはすごく効果的だと思うよ。当然、輸送時間も短くなるわけだから」と矢作師。落ち着きすぎないように滞在は最長でも2週間まで。戦いの場所へ戻る時を見据えながら、つかの間の休息で“超回復”できる北の前線基地。なくてはならない存在になっている。
◆コテージエクリプス 所在地は北海道虻田郡真狩村字社215―1。9月〜翌年5月まで営業。すべて2階建ての
コントレイル棟、
リスグラシュー棟、
ラヴズオンリーユー棟があり、広々とした造りのリビング、ダイニング、ベッドルームを完備。各棟は5〜7人まで収容可能で1棟貸切の形。矢作厩舎の公式HPや公式Xから予約できる。
スポーツ報知