宝塚記念に出走予定の
ホエールキャプチャ(牝4、
田中清隆厩舎)は、前走の
ヴィクトリアマイルで、念願のGI初制覇を成し遂げた。
宝塚記念に出走が決まった経緯や、ここまでの調整過程など、管理する
田中清隆調教師に取材した。
「前走後、
安田記念か
宝塚記念のどちらかへの出走を考えていました。オーナーと相談した結果、安田に行くとなれば、間隔が詰まってしまいますから、ここは秋の競馬を見据えて、男馬の一線級に入って、どういう競馬ができるのかを見てみようということになり、
宝塚記念に挑戦が決まりました。
当歳の時に初めて見たのですが、
バランスが良くて、欠点のない馬体をしていました。入厩してきた時も、それが崩れず、
バランスは良かったですよ。母父が
サンデーサイレンスですし、母系は
タレンティドガール、
チヨダマサコにつながる千代田牧場の血脈ですから、血統的にも期待はありました。ただ、当初は腰が甘いところもありましたから、その点がどうかなと思いましたが、函館に連れていく前に、美浦の坂路を51秒台で上がってきて、その時に新馬戦はおもしろそうだし、走りそうだと感じました」
その新馬戦は2着だったが、その後、未勝利、
芙蓉S(2歳OP)と2連勝し、阪神JFでも2着になるなど、2歳時から頭角を現して、翌年のクラシック候補に名乗りを上げた。しかし、
桜花賞2着、
オークス3着、1番人気で迎えた
秋華賞も3着、古馬と初めての一戦となった
エリザベス女王杯は4着と、その実力は認められながらも、とうとうGIに手が届かないまま、3歳シーズンを終えた。
「去年は、惜しいところまで来ていて、なかなかGIを勝てませんでしたので、
ヴィクトリアマイルに優勝した瞬間は、やはりスカッとしましたね。
レース後も順調に来ていまして、1週前追い切りは、芝コースでやりました。もう1頭の馬を後ろから追いかけて、最後は半馬身ほど先着しました。ここまでは、予定通りです。
3歳時は、まだ心配なところもあって、関西遠征の時は、栗東に滞在させていましたが、環境に慣れるのに2、3日かかるタイプでもありますし、今回は直前輸送でレースに臨みます。今、落ち着きもあって、状態も良いですからね。それに飼葉も食べる馬ですから、大丈夫だと思います。
私も、厩舎周りの乗り運動には、跨るんですよ。
ホエールキャプチャにも、デビュー時から跨っていました。最近は乗っていなかったのですが、先週(取材日は6月14日)、久しぶりに跨ってみましたら、腰も含めて、体全体がパンとして、以前とは全く違って、ものすごく良くなっていました。
エリザベス女王杯の時は、早めに前を捕まえに行って、最後少しバテた感じがしますので、そのあたりを反省材料にして、競馬をすることになると思います。男馬の一線級相手では、そう簡単にはいかないでしょうけど、少しでも上の着順に来て、秋につながる競馬をしてくれればいいなと思っています」
牡馬の一線級に入って、紅一点の
ホエールキャプチャが、どのような走りを見せてくれるのか、注目したい。(取材:佐々木祥恵)