29日、中山競馬場で秋の短距離王決定戦・
スプリンターズS(3歳上・GI・芝1200m)が行われ、昨年のこのレースから始まったGI5連勝を目指し、短距離王者
ロードカナロア(牡5、栗東・安田隆行厩舎)が
岩田康誠騎手を背に出走した。
レースは、前哨戦で王者を下した2番人気
ハクサンムーン(牡4、栗東・
西園正都厩舎)が一目散に飛び出して逃げる展開となり、
ロードカナロアは先行馬を見ながらの5〜6番手を追走。4コーナーを回り、
ハクサンムーンが逃げ込み態勢を固めに入る中で迎えた最後の直線では、坂下残り200mで王者のエンジンが点火すると、外から一気に末脚を爆発させ、ゴール前で
ハクサンムーンを勢いよく捕らえて差し切り、最後は3/4馬身差をつけ優勝した。勝ちタイムは1分7秒2(良)。
さらにクビ差の3着には、ゴール前で内からしぶとく脚を伸ばしていた15番人気
マヤノリュウジン(牡6、栗東・
庄野靖志厩舎)が飛び込んだ。クビ差の4着には6番人気
マジンプロスパー(牡6、栗東・
中尾秀正厩舎)、5着に10番人気
アドマイヤセプター(牝5、栗東・橋田満厩舎)が続き、掲示板は確定した。
なお、千二初参戦の3番人気
グランプリボス(牡5、栗東・
矢作芳人厩舎)は7着だった。
勝った
ロードカナロアは、
父キングカメハメハ、
母レディブラッサム、
その父Storm Catという血統。昨年のこのレースでGI初制覇を飾ると、
香港スプリント・
高松宮記念・
安田記念を制し、世界レベルの走りで短距離界を席巻。「絶対王者」が、秋の初戦を一叩きされて迎えた今回は、当面のラ
イバルと目された逃げる
ハクサンムーンをゴール前で力強く捕らえ、後続の追撃を一切許さぬ完成された走りを披露し、昨年に続く
スプリンターズSの連覇と、短距離GI・5連勝を見事に達成。レース後、鞍上の
岩田康誠騎手にいつもの大きなアクションはなく、王者の背中を確かめるようにして勝利の余韻に浸っていた。
【勝ち馬プロフィール】
◆
ロードカナロア(牡5)
騎手:
岩田康誠厩舎:栗東・安田隆行
父:キングカメハメハ母:レディブラッサム母父:Storm Cat馬主:ロードホースクラブ
生産者:ケイアイファーム
通算成績:18戦12勝(海外1戦1勝、重賞8勝)
主な勝ち鞍:2012年
スプリンターズS(GI)、
香港スプリント(GI)、2013年
高松宮記念(GI)、
安田記念(GI)
■勝利ジョッキー:
岩田康誠騎手のコメント
「(無事に勝利でき)一安心というか、肩の荷が下りました。
スプリンターズSでは断然の1番人気でしたし、win5もありましたので何とかしようと思っていたのですが、ゲートでは少し出遅れてしまったこともあり、自分自身で納得がいかないレースになりました。しかし、
ロードカナロアは二の脚もありますし、馬群の中で辛抱できる気持ちもあります。それを絶やさないように、直線に向くまで持たせることができました。
(レースの前半3ハロン通過が32秒9で)それなりに流れていましたし、3〜4コーナーでは
ロードカナロアとの前後に空間がありました。それで多少は楽なレース運びになった面があるかと思います。直線では、最近になって追い出してモタつく面があり、それだけを気にしていました。最後は(末脚を)爆発させることができてよかったです。
(出遅れなどで)今日は少しリズムが悪かったなという思いがあり、負けると引退ということでしたが、次に繋げることができました。本当に嬉しい勝利になりました。次走はどのレースを使うかまだ分かりませんが、年内で現役を終えることになっています。最後に、もう一花咲かせられたらいいなと思います。
(改めて、
ロードカナロアについて)本当に素直な馬で、『これで走るのか?』という気持ちがずっとあります(笑)。普段から大人しい馬なのですが、ゲートが開けば爆発してくれて、利口ですね。騎手に忠実な馬だと思います。今回は(連覇や引退の件など)色々頭にあり、かなり緊張していました。喉はカラカラです(笑)。応援ありがとうございました」