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嘉藤騎手、初ダービーを振り返る「またあの舞台に」/美浦トレセンニュース

  • 2015年06月04日(木) 19時00分
 日本ダービーで16番人気ながら5着と大健闘したコメート(牡3・美浦・土田稔)。騎乗した嘉藤貴行騎手にとって、デビュー16年目で初めて経験した大舞台はいかなるものだったのだろうか。ダービーから3日後の6月3日(水)に、嘉藤騎手に話を聞いた。

「ダービー当日は、いつもと変わりなく迎えられました。騎乗するジョッキーをウイナーズサークルで紹介してくれるイベントもダービーだけだと思いますし、気持ちが良かったですね。

 もっと緊張するのかと思っていたのですけど、想像以上にリラックスできました。ダービー前に4鞍騎乗していて、体を動かしていたのが良かったのかもしれません。

 パドックや返し馬、ゲート裏で少しイレ込む馬なのですが、今回はそういう面が全くなかったんです。それは本当に具合が良い証拠なのかなと思いました。 いつもはゲート内で前掻きをするのに、歓声が上がっても落ち着いていたのも大きかったですね。もしゲート内でうるさかったら、出遅れたらどうしようなど余計なことを考えていて、人間も焦るところでした。コメートが落ち着いてくれてたので、本当に心強くて頼もしく感じましたし、とても楽しく乗ることができました。正にコメート先生ですね(笑)。馬の方が賢かったです。

 レースは待望の内枠でしたし、少しペースは速かったのですが、何の不利もなく逃げ馬の後ろでジーッとできたのも良かったです。前を行くノリさん(横山典弘騎手)の騎乗フォームが綺麗だなと思いながら乗っていました(笑)。別に余計なことを考えているというわけではなくて、集中して乗ってはいるんですけど、ノリさんのフォームが綺麗だと思えるくらい、良い意味でリラックスして乗れたのかなと思います。

 4コーナーを回る時も手応えはありました。直線でも手応えがありましたが、後ろからいつ来るのだろうという気持ちもありました。ただこちらも手応えがありましたので、もう少し粘ってくれとずっと願っていました。ペースもペースだったので、最後は苦しくなって右に左にと寄れた感じでしたが、あそこで踏ん張れたのは大きかったと思います。本当にコメートの頑張りのお陰ですね。

 ゴールをした瞬間は何着だったのかわからなかったのですが、戻ってくる時に掲示板に3という数字が点滅していて、5着だと知りました。その時は少しホッとしましたが、もう少し何とかできたのでのではないか、もっと頑張れたのではないかという悔しい気持ちもありました。

 引き揚げてくる時にはさほど感情が高ぶったということはなかったのですが、検量室前でケンレーシング組合の津田オーナーや、コメートの放牧先の牧場の場長、そして土田先生や担当の川崎さんの顔を見たら、いろいろな思いが交錯してこみあげてくるものがありました。あまりそういう場面は見られたくはなかったのですけどね(笑)。ダービーという大きいレースで人気もなかったですから『良くやってくれた』と、皆さん喜んで下さいましたけど、ジョッキーとしては勝ちたかった、1つでも上の着順に持ってきたかったという気持ちはありました。でも馬は一生懸命走ってくれていますから、現時点でこれ以上望むのは酷かもしれません。

 コメートは、まだ大きくなりそうですし、秋になればもう少し大人になると思います。まだまだ良くなる余地がたくさんあります。そのコメートをうまく乗りこなせるような、コメートにふさわしい男になりたいと思います!」

 インタビュー中、嘉藤騎手は「あの雰囲気を一度味わうと、またあの舞台に立ちたくなりますね」と、何度か繰り返した。コメート担当の川崎隆幸調教助手も同じことを言っていた。競馬の世界に生きる人々にとってダービーは、それだけ特別なものなのだ。

 そのダービーで力の限り走ったコメートは、しばらく厩舎で様子を見たのちに放牧に出て夏場は充電。9月21日に行われるセントライト記念(GII)から始動する予定だ。この先もコメート&嘉藤騎手の活躍に期待したい。

(取材・写真:佐々木祥恵)

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