ディフェンディングチャンピオンの
ディサイファほか、美浦から
エプソムC(GIII・芝1800m)に出走する各馬について関係者に取材した。
ディサイファ(牡6・美浦・小島太)について、小島太調教師。
「前走の
中日新聞杯(GIII・1着)は、輸送に強いタイプではないですし、速い時計になると不安もありましたが、ジョッキーがうまく乗ってくれました。希望通りの内枠からのレースで、前に壁を作って勝負どころで外に持ち出すことができました。
エプソムCに使うことは決めていましたので、レース後1週間ほど様子を見てから放牧に出しました。トレセンに帰厩してからはすぐに時計消化ができましたし、先々週あたりから気持ちも動きも9分通りできてきました。
今週(6/10)はできれば坂路でやりたかったのですが、馬場が重かったためポリトラックでの追い切りに変更しました。途中モヤで見えませんでしたが、最後の1ハロンの動きは予定通りのものでした。6歳ですが、今でも進化している感じです。良い感じで筋肉もついてきましたし、以前は集中力がなくてヤンチャでしたが、それもなくなりました。強いメンバーが揃っていますが、状態に関しては何ら不安はないですし、この馬の力は十二分に出せると思います」
ダノンジェラート(牡6・美浦・
萩原清)について、
萩原清調教師。
「今週(6/10)の追い切りの動きも良かったですし、外傷で取り消した(5/23モンゴル大統領賞)影響もなく、良い状態を維持できています。前走の
中日新聞杯(7着)は馬場の影響もあった感じがしますし、力負けとは思っていません。できれば馬体重は増やして出走させたいです。距離や東京コースは問題ありません」
ヒラボクディープ(牡5・美浦・
国枝栄)について、
国枝栄調教師。
「前走(モンゴル大統領賞・OP・3着)は、ペースが速くなって後ろからでも届く展開になったのが良かったですね。それまではじれったいレースが続いていたのですが、前走はブリンカー効果もありましたし、流れもこの馬に向いていました。レースの疲れはありませんが、中2週になりますので、追い切りは先週末と今週(6/10)に行っています。今週は前に馬を置いての追い切りでしたが、リズム良く走っていました。元気の良い馬ですけど、終いで弾けるところが出てきましたので、そのあたりは成長しているように思います。前走と同じような競馬ができれば良いですね」
アーデント(牡6・美浦・
加藤征弘)について、
加藤征弘調教師。
「前走の
新潟大賞典(GIII・4着)は、ジワッと先手を取り、自分の競馬ができました。ただペースを落とし過ぎた感じですし、もう少しセーフティーリードを取っても良かったかもしれません。休み明けを使いつつ良くなってきましたし、今週(6/10)もしっかりとした動きでした。今回は同型の
エイシンヒカリがいて厳しいですが、気分良く走らせてどこまで頑張れるかといったところです。馬場が荒れてくるのもプラス材料ですし、道悪になってもこなせます」
ペルーサ(牡8・美浦・
藤沢和雄)について、
藤沢和雄調教師。
「前走の
白富士S(OP・6着)は、復調の兆しが少し見えましたね。予定していたイギリス遠征はやめましたが、中間も順調に来ています。今週(6/10)も時計は速くありませんが、馬はベテランですし、このくらいで大丈夫でしょう。今回は初めて
内田博幸騎手が騎乗しますが、良い面を引き出してくれるよう期待しています」
フェスティヴタロー(牡6・美浦・
天間昭一)について、
天間昭一調教師。
「前走(モンゴル大統領賞)での2着は、放牧に出して立て直したことと、53キロのハンデで気分良く逃げられたことが良かったと思います。レース後もすぐに回復し、順調に来ています。先週の水曜日に時計を出しましたが、前向きさがあって良い感じでした。今週(6/10)の追い切りはさほど強くはやっていませんが、動きは良かったです。前走はプラス14キロでしたが、あのくらいの体で良いでしょう。今回も気分良く走れるかが鍵ですね」
マイネルホウオウ(牡5・美浦・
畠山吉宏)について、
柴田大知騎手。
「前走(
マイラーズC・GII・18着)の追い切りは悪くなかったのですが、あの結果ですからね。調教とレースは違うのかもしれないですね。ただ調教ではさすがだなと感じさせる動きをしてくれますし、息遣いも良くなっていて、デキは上がってきています。前走でも抑えがきかない感じはないですし、調教でも折り合いはついていますので、距離が1800mに延びても大丈夫でしょう。厩舎サイドでケアをしっかりしてくれていますので、脚元も維持できています。あとはきっかけを掴んでほしいですね」
ユールシンギング(牡5・美浦・
勢司和浩)について、
勢司和浩調教師。
「前走の
新潟大賞典(GIII・8着)はジョッキーからの進言があってチークピーシーズを外しましたが、今回は調教から装着していますし、レースでも着ける予定です。年齢を重ねるごとに、前進気勢が薄くなっていますので、チークピーシーズの効果に期待したいですね。
前走は復調の兆しが見えるレースでしたし、位置取りひとつで着順も上がったかもしれません。昨年の秋は、咳をするなど体調がすぐれませんでした。大型馬なので復調するまで時間がかかりましたが、良い頃に戻ってきて状態も調教の動きも良くなりました。これまでポリトラックコースで調整をしてきましたが、球節も安定して骨もしっかりとしてきましたので、ウッドチップコースも併用しています。それだけ体も丈夫になってきているのでしょう」(取材・写真:佐々木祥恵)