茨城大などは31日、日本中央競馬会(JRA)の美浦トレーニングセンター(茨城県美浦村)周辺の競走馬育成牧場で出た馬糞(ばふん)で堆肥を作り、育てた農産物のブランド化を図る連携組織「サラブレッド堆肥エコシステムプロジェクト」を発足させた。霞ケ浦の水質汚染の原因とされてきた馬糞の適切な処理を進めると同時に、環境循環型農業と地場産品PRを進める「一石三鳥」の策として注目を集めそうだ。
プロジェクトには、茨城大のほか、土壌改良を手がける企業「リーフ」(同県つくば市)や農事組合法人「大地のめぐみ」(同県阿見町)が参加した。
設立のきっかけは、霞ケ浦での深刻な「糞害」だった。馬糞は雨水で地中へ浸透し、水質の汚染を招く場合がある。
馬糞は土壌改良効果が高い一方、肥料としての効果は小さいとされてきた。茨城大農学部とリーフは、育成牧場から譲り受けた馬糞を利用した発酵堆肥「サラブレッドみほ」を製造、米ぬかなどを加えることで肥料効果を高めることに成功した。
「大地のめぐみ」で試験的に使用したところ、インゲン豆やコマツナなどすべての野菜で生育がよかった。リーフが運営する「つくば牡丹園」(つくば市)で使うと、ボタンやシャクヤクの花が大きくなった上、花期が長くなり色づきもよかった。
品質向上の効果に加え、競走馬はドーピング検査に備えて薬品使用量が少ないことから、農産品としてのブランドイメージの高まりも期待できそうだ。
現在、堆肥を作る施設は美浦村などに3棟あり、将来的には31棟に増やす計画だ。収穫した野菜を提供する農家レストランの運営なども予定している。
茨城大農学部の黒田久雄教授らは31日、つくば市で記者会見し、プロジェクトの設立を発表した。黒田氏は「馬糞で成功させ、鶏糞や豚糞などにも応用して茨城発のモデルを全国に発信したい」と強調した。
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