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引退競走馬の厳しい“その後”

  • 2020年03月22日(日) 13時03分
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 関係者の間ではこれまで話題にすることもタブーとされていた、引退競走馬のその後。繁殖用、乗用に転身する馬がいる一方、行き場を失い、殺処分という最期を迎える馬も。「ホースセラピー」などが受けられる滋賀県栗東市の施設・TCC Therapy Parkでは、そうした引退競走馬をセラピーホースとして迎えるなど、支援活動を行っている。


 TCCでセラピーホースとして活躍するメイショウナルトは、12歳。2010年に競走馬としてデビュー、13年に小倉記念、14年に七夕賞を制し、生涯で2億円強の賞金を獲得した一線級の競走馬だった。しかし、18年に左前脚浅屈腱不全断裂という大ケガを負い、1年程度の長期休養が必要となったために登録抹消。他団体での再調教を経て、TCCに“転職”した。

「現在、日本にはケガを理由に引退した競走馬が一時的に療養できる場所はほとんどありません。メイショウナルトほど活躍した馬ですら、引退後の行き先やアフターケアは提供されていないのが実情です」(TCC代表の山本高之さん)

 TCCはこうした馬のために、4頭分の「ホースシェルター」を常設。現在も、4頭の引退競走馬がケガなどの治療を行いながらセカンドキャリアへの準備を進めている。

「メイショウナルトのような重賞で勝つほどの馬は我が強く、あまり人に甘えないので、セラピーホースへの転用は難しい場合が多いのですが、賢い彼はうまく順応してくれました」

 だが、そもそも速く走るために訓練され、闘争心を植えつけられてきた競走馬がセラピーホースになれる可能性は、それほど高くはない。 

 そこでTCCでは全国の乗馬クラブや牧場に引退馬を預託しており、現在、約30頭がそれぞれの個性に合った新たなキャリアを積んでいる。今後はテーマパークや観光施設などでも活躍できるよう、働きかけも行っているという。

 預託料などの必要経費は、会員制ファンクラブに登録した約2千人のファンからの支援会費でまかなっている。競馬ファンを主とした会員の中には、活動の趣旨に賛同した現役騎手や調教師、馬主などもいる。

 支援活動はこれまで個人、団体を問わず全国各地で行われてきた。しかし、持続的に取り組んでいる団体に限れば、馬の余生をさまざまな形で支援する「引退馬協会」や、再調教を専門的に行う「サラブリトレーニング・ジャパン」など、数えるほどしかない。
ネタ元のURL
https://dot.asahi.com/aera/2020031900104.html?page=2

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