―前走のJBCクラシックはお見事。これまでのキャリアで最も楽なレースだったのでは
音無 同じようなことを川田騎手も言ってくれたけど。僕からしたらそうでもない。
―というと
音無 この馬の全レースを僕はハッキリと覚えている。例えばデビュー戦で同じレースを使っていた松田調教師に「こんな大きな馬がいきなり勝ったらバケモノだよ」って…。
―7馬身差の楽勝でした。しかも夏の新潟で除外され、短期放牧を挟んだ仕切り直しの一戦だったかと…
音無 そう。それなのに楽勝しちゃって。予想以上にとんでもない馬だなって。2戦目に臨むまでにも一頓挫あったのは覚えてる?
―覚えています。確か飛節炎だったかと
音無 とにかく順調に使えているレースが少ない馬なんだよな。ジャパンダートダービーの前はひどい夏負けだったし。目の周りが真っ黒で“こんな状況で使っていいのか”と思ったくらい。
―それでも3馬身差の完勝でしたが…
音無 能力が違い過ぎるからね。でも、このJDDも次の日本テレビ盃も川田騎手のコメントは辛口だった。「これでは全然ダメ」みたいなことを言ってたよね。
―確かに。結果を出しているのに…
音無 こちらとしては理由も分かってた。まあ、そうだろうな、と。
―夏負けがかなりひどかったとか
音無 そう、ひどかった。結構な長い期間、尾を引いたからね。暮れのチャンピオンズCで“ようやく復調してきたな”という感じ。その状況であの走破時計(1分48秒5)だろ。着差(クビ)はわずかだから、すごいってならないけど、あの馬場であの時計はすごいと思うんだよな。
―背景も含めて考えると“とてつもない”ですね。
(中略)
音無 もちろん、クリソベリルの“今”があるのはレースを慎重に選択し、成長を促してくれたオーナーサイドの決断があってこそなんだけど、この馬を見ていると大型馬らしいというか、久々からいきなり走るタイプではないように思える。
――いわゆる叩き良化型
音無 それだけに今回の一戦に僕は注目しているんだ。中間に短期放牧を挟んでいるとはいえ、1か月程度のレース間隔で使うのは今回が初めて。12月という時期もいい。この状況でどれだけ走ってくれるのか、とね。G?だからメンバーも強いし楽ではないが、この馬自身に関していえば、まだまだ上があると僕は思っている。
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