例の「森発言」が国内外で波紋を広げている今だからこそ、取り上げたい人馬がいる。
フェブラリーSにエントリーしているオーヴェルニュ(牡5・西村)の担当は、競馬サークルで女性のパイオニアとして道を広げてきた梅内栄子調教助手。
長い時間をかけて丹念に、そして繊細に接し続けてきたからこそ、目下3連勝と快進撃を続けるオーヴェルニュの今がある――。
重賞初制覇を梅内栄子助手は「川田騎手が好位で我慢させてくれたおかげですね。もともと行きっぷりが良過ぎて、テンにひっかかることが多かった馬ですから」と振り返る。
梅内助手はトレセン内では女性調教助手の草分け的存在として広く知られている。もちろん単に女性だからというわけではない。調教技術でも一目置かれ、西村調教師から「栄子さんは丁寧な仕事をしてくれるから、何も心配がいらない」と全幅の信頼を寄せられている腕利きに、興味が湧かないわけがないではないか。
近年の女性騎手の活躍があることで「競馬も女性進出が目覚ましい」といったイメージを持った方もいるだろうが、現実はそうでもない。
「以前はトレセンにも20人以上の女性スタッフがいたのですが、今は半分くらいかな。(結婚、出産など)いろいろありますから。だいぶ減っているのが実情なんですよ」(梅内助手)
厩舎での仕事は想像以上に気力、体力を要する。梅内助手も週1回の整体など、体のケアは欠かせない。それはもちろん馬も同じで「馬を扱うことに正解はない。毎日、状態も変わりますからね。だからこそ調教は日々の積み重ねが大事なんです」と口にした後、オーヴェルニュの目下の充実ぶりにつながる話もしてくれた。
「以前、左に張る面があったんですけど、調教を積むことで左右のバランスが整えられ、競馬でも辛抱できるようになりましたからね」
今回のフェブラリーSが自身の担当馬としては2018年のオークス(シスターフラッグ)、20年のNHKマイルC(ソウルトレイン)に次ぐ3度目のG?挑戦となる。
「やることは普段と変わらないですからね。自分がピリピリしていたら馬に伝わるので、そうならないようにしないと」
平常心で臨むことを心がけている。
G?戴冠となれば…。競馬界においても新たな波が起こるキッカケになるかもしれない。
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