北海道帯広市主催の「ばんえい競馬」で、騎手が能力検査のレース中に馬の顔を蹴っていたことについて、市は、「不適切な対応」だとして、この騎手を戒告処分にした。
ネット上でも、虐待ではないかとの疑念は強く、一部でばんえい競馬自体の廃止論も出ている。農村の高齢化
で馬不足も続いており、北海道開拓時代からの馬文化が転機を迎えつつあるようだ。
この問題では、帯広競馬場で2021年4月18日にあった第18レースに出走したドウナンヒメ号に対し、鈴木恵介騎手が第2障害の上り坂で少なくとも2回、顔面を蹴った様子がライブ配信に映っていた。
関係者から、馬の鼻に入り込んだ砂を出すためと擁護する声も出たが、馬がかわいそうだとツイッター上で非難も相次いでいた。
鈴木騎手が馬を蹴ったことについて、ネット上では、関係者のツイートなどを受け、「あれは少しでも生かすために必死だったんだろうな」「今の段階で騎手を一方的に非難するの危険すぎる」と擁護する声も出た。
しかし、「虐待でしょう、これは」「さすがに他のやり方を考えるべき」「擁護する人達も考え方が麻痺している」と批判は根強いようだ。
さらに、ばんえい競馬が重りを載せた鉄製のそりを馬に引かせる過酷な競走のため、「馬の地獄にしか見えない」「すでに時代遅れなのかと思う」「ばんえい競馬自体を即刻廃止にするべき」との声も一部で見られた。
帯広市のサイトによると、ばんえい競馬は、明治の北海道開拓時代に「ばん馬」と言われる農耕馬による競走が行われたのを起源とし、戦後に公営競馬となってスタートした。2004年には、世界で唯一の馬文化として「北海道遺産」に指定されている。道内の各自治体がレースを運営してきたが、07年度から帯広市だけになっている。
ところが、テレビ北海道の17年5月13日付ウェブ版ニュースによると、高齢化の影響で農耕馬の数が20年前の7分の1に減り、馬が足りなくなった。そのため、かつては2割を切った能力検査の合格率が7割超にもなって、馬の能力低下が見られるという。コロナ禍の巣ごもり需要によるネット販売好調で、ばんえい競馬の売り上げは、2020年のシーズンは過去最高に達したと報じられているが、馬のやりくりには苦労しているようだ。
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