読者の皆さんなら、「馬にレースを覚えさせる」というフレーズを聞いたことがあるでしょう。例えば、ダートで砂をかぶらせることや馬群のなかで我慢させること。覚えさせるというよりは慣れさせると言った方が良いのかもしれません。
一度で覚えたり、慣れたりする馬もいれば、なかなかできない馬もいるんですよね。しかし、何度も砂をかぶっても、全く対応できない馬もいます。そうなるとその馬の特徴となり、砂をかぶらないようにレースをするしかなくなります。
そうならないように、新馬戦やデビュー数戦で経験を積ませることを「競馬を教える」と言います。
新馬戦からさまざまなことを経験して、大きい舞台へと進んでいくわけです。簡単にレースを経験しているように見えるかもしれませんけど、結構これが大変なんです。
馬は一度行ったところを忘れないといわれますが、一度嫌な経験をしてしまうと決して忘れてはくれません。最初の競馬で苦しい、あるいは嫌な経験をすると、2回目以降はイレ込んだり、暴れたりして拒絶しかねません。だからこそ最初が大事なんです。
できる限り丁寧に教えることを、騎手だけでなく厩舎一丸となり、チームとしてやらなければならないと思うんです。それでも、教えるのは簡単ではありませんし、なかなか思うようにいかないんですけど、だから面白いんでしょうね。 (JRA騎手)
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