第23回ジャパンダートダービー(JDD)・交流G1をブービー人気のキャッスルトップで逃げ切った船橋の仲野光馬騎手(31)。JRA勢を破り、一夜にしてG1ジョッキーに駆け上がったシンデレラボーイは、デビュー8年目で通算46勝。これまで重賞未勝利で、昨年はたった5勝だった。G1初出走にして優勝したその秘密と今後の夢に迫った。(大野英之)
3連勝で臨んだ船橋のキャッスルトップ。ここまで逃げて結果を出し、先手を取る気でいた。
「何が何でも行こうと“気”は出していました。ただ全てのパターンを想定していました。その中には出遅れるなど最悪の状況もあります。レースでは実現することがほぼない、一番こうなればいいなというのがあります。今回は1、2コーナー時点で、揃ってました」
自分が立てたプランと愛馬を信じ手綱を執った。必死で追ったゴール前。内外から迫ってきたが頭差で優勝。反響も大きかった。
「メールの山。すごい懐かしい友人や、中学の同級生で一緒に騎手を目指した平野優(元JRA騎手)に、三浦皇成も喜んでくれた。嶋田純次、杉原誠人、宮崎北斗さんからもメールがきました。勝ったこともうれしかったけど、なにより見てくれていたことがうれしかった」
騎手になったきっかけは、レジェンドの姿に魅入られたことだった。
「物心がついたくらいでスペシャルウィークが好きになり、(98年の日本)ダービーを見に行って武(豊)さんのガッツポーズにあこがれました。(3着ウェルドーン騎乗の武豊から)レース後に『おめでとう』と言われて、感慨深いものがありました」
08年に地方競馬教養センターに受かるも体重管理が難しくなりドロップアウト。この世界から離れたが一念発起して船橋の川島正行厩舎で調教専門の厩務員として再出発。一発合格を目指して腕を磨き、4回目で騎手への道を開き8年目になる。
「平野と一緒に競馬に乗ることとか、かなわなくなった夢があります。ただ、この歳になってもまた新しい夢が見れるなら、減ってくだけじゃないなと改めて思いました」
浮かれてるわけではない。まだ通算50勝にも届かない実力を認識し、向上心を新たにする。
「乗鞍を増やさないといけない立場。何よりJDDを勝った実績に伴う成績を付けていきたい。それが新しいきっかけとなって、中央の人たちと渡り合っていける騎手になりたい」
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