レースを勝つには、仕掛けるタイミングが大切です。関東の騎手だと東京、中山と乗り慣れている方がイメージしやすいかな。ただ、当然ですがレースには流れがあり、他の馬がいますので、ひとつとして同じものはありません。
そのなかで最後の直線や坂という競馬場の特性を考えるのですが、僕の場合は上がり3ハロンのタイムを計算しているかな。残り600メートルから、どれだけの脚を使えるかを考えます。
例えば上がり34秒の脚を使える馬が逃げていたとします。残り600メートルからペースを上げて、上がり34秒の脚を使えれば後ろはしのげるという感覚です。そのときに最後の直線が長いとか坂があるとかの計算はあまりしないですね。
今回の秋華賞はペースが割と遅くて、人気のソダシが前に。3、4コーナーの中間あたりで、後続馬が動き出しました。そのなかで、ひと呼吸我慢した馬が最後伸びてきたように、我慢比べが左右することもあります。
脚を残して、いい位置で最後の直線を迎えられるかが大切です。いくら脚をためても後ろ過ぎれば勝てないですし、逆にいくらいい位置でも脚が残っていなければ伸びることはできません。
同じように前半の3ハロンの脚も計算します。出走馬の脚質と馬場状態をみて、騎乗馬が前に行けるのか、どの馬が速いのか考えます。特に短距離戦では重要だと思います。
「ペースが遅いのに何で動かないんだ」と思うこともあるかもしれませんが、仕掛けのタイミングにもいろいろな事情があるんですよ。(JRA騎手)
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