▲ワンダーアキュートを管理する佐藤調教師、一戦一戦にかける熱い思いを語った
上半期のダート頂上決戦・帝王賞(JpnI・大井2000m)。王者ホッコータルマエに挑むライバル陣営が胸に秘める勝算を探った。(取材・文・写真:大恵陽子)
ワンダーアキュート・佐藤正雄調教師
5月5日、かしわ記念(JpnI・船橋1600m)でワンダーアキュートは、史上初の9歳馬による平地GI制覇を成し遂げた。「おめでとうございます」と伝えると、「ありがとうございます」と佐藤正雄調教師は頬を緩ませてレースを振り返った。
「勝った時は、驚きでしたね。調整が最近になくスムーズにいっていましたし、鞍上も和田騎手に替わって、若干期待はしていましたが。でもまさかこの距離で勝ってくれるとは」
▲2年3カ月ぶりの和田騎手とのコンビ復活で、見事かしわ記念を勝利(撮影:高橋正和)
大きく崩れないが勝ち切れない善戦マン・ワンダーアキュートが、ここ3走は「らしくない」成績だった。「どこか痛かったとか、そういうわけじゃないんです。距離や展開など条件が合った競馬も少なくて、成績が下降線でしたね」
昨年末、チャンピオンズCは後方からの競馬で5着。「ラストはしっかり伸びてきているけどね。しまいにかけた印象だったけど、前で決着がついちゃっていたのかな。着差もそんなになくて(0.5秒差)惜しい競馬でした」
その後の東京大賞典は好位につけるも、伸びそうで伸び切れないまま7着でゴールした。「直線でモタれて追えない状況でした。あんなにモタれる馬じゃないから、競馬場に着いてから馬房内とか私たちが見ていないところで何かあったのかもしれません」
年が明けたフェブラリーSは、道中で窮屈になる場面もあり、9着に終わった。「展開が合いませんでした。馬体重も重かったせいか、パドックでイラついていましたね」と、それぞれ敗因を分析する。
馬体重について、ワンダーアキュートは特徴があるようだ。
「競馬場に一泊する関東圏でのレースの場合、向こうで水をあまり飲まなくて馬体重が減る傾向にあるんです。汗をかいて、自分で体を作っていくタイプなんでしょうね。レース後の(ドーピング検査の)検体で尿が出ずに採血したこともありました。ですが、この馬の場合、