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キタサンブラックも怪物ではなく生きものだったね

  • 2017年06月29日(木) 19時00分


 宝塚記念が終わり、今週から栗東トレセンの調教馬場の開門時間(平日)が1時間繰り上がって午前5時になりました。ということは、調教の準備やミーティングがあるので従業員の皆さんは早い厩舎では午前3時、遅くとも午前4時には仕事にとりかかっています。当然ながら調教が終わる時間も繰り上げるので、早い日は午前9時前に仕事が終わってしまう日もあります。

 北海道出張組がいない分、馬房も空きがありガランとしている。そんな様子を見ると、トレセンにも本格的な夏がやってきたことを実感させられます。

 さて、宝塚記念。キタサンブラックがあれほど負けるとは思いませんでした。陣営も精一杯の努力と仕上げをしてきただけに、さぞ悔しかったことでしょう。振り返ってみれば、1シーズンにGIを3つ勝つことの難しさを思い知らされました。これまで三冠をとったような馬たちを振り返ってみても、1シーズンすべて勝った時でさえ出走するレースをすべてMAXに仕上げていたわけではないですもんね。

 しかし、今回キタサンブラックは大阪杯もGIということで、最初からかなりしっかり仕上げてきました。春のGI3戦、調教の段階、少なくとも最終追い切り直後までは特に目立った疲れは見せてはいなかったように思います。それでも、実際には目に見えにくい疲れがあったのでしょうね…。

 宝塚記念の翌日、清水久厩舎に顔を出すと、ちょっとご機嫌斜めなキタサンブラックがブヒブヒいってました。あれ? 先週の月曜日、悠々とオーラを放っていた彼とは全然違う。どこか拗ねているような、ちょっと落ち着きがないようなかんじで首を大きくタテに降りながらカイバやニンジンを催促していました。


 担当の辻田厩務員は、惨敗しながらもレース後も元気が良さそうな様子を見ながらどこかホッとした様子でした。

「いったいどこに限界があるのだろう? と思っていましたけれど…。キタサンブラックも怪物ではなくて“生きもの”でしたね」

 そして、阪神競馬場からの馬運車を降りて、すぐにカイバをペロリと平らげるという食欲旺盛さを聞くにつけ、キタサンブラックの逞しさを改めて感じたのであります。

 前述どおり、どこか不機嫌そうに耳を絞り気味にしていたところも、ご愛敬。そんな人間くささ、ならぬ、“馬くささ”、いいですね。この疲れをしっかりじっくり癒して、また秋競馬で頑張ってくれるといいですね。

 キタサンブラックの様子を確認したあとはシャケトラのところへ。いやいや、ほんとによく頑張りました!

「まだ体も幼いし、キャリアも浅いのによく頑張ってくれました。秋が楽しみです」と上村助手。

 ほんとに! 何度か書いていますが、まだ幼児体型なので秋はそのあたりが変わっていることを大いに期待します!!

 その上村助手はいまシャケトラの他に2歳のヘンリーバローズを担当しています。あのシルバーステートの弟でシックスセンスの近親にあたります。


 この馬はね、トモが凄いんですよ! まだ体全体的には緩さがありますが、それもあってかトモの筋肉の隆々しさが際立っちゃってます。踏み込みも素晴らしく、厩舎内の評価もかなり高いとのことです。

 しかし、それでいて…素顔がめっちゃ可愛い!!なんか人懐こそうです。

「まったく噛みついてくるところもありませんよ」

 と上村助手が言うので、恐る恐る手を顔に近づけてみます…。というのも、角居厩舎の馬って凛として気が強くて噛みついてくるような馬が多いようにお見受けします。だから、油断ならないのですが…あれ? ほんとに。フレーメンするばかりでむしろわたしの手に顔を摺り寄せて懐いてきます!まったく噛んでくる気配なしでビックリです!


 デビュー戦は中京3週目の芝2000mに決まりました。

「体は隆々としているのに、手足はすごく素軽いんですよ。楽しみです」(上村助手)

 順調に勝ち上がって、来年のダービーに出走している姿が見たいですね〜!

デジタルレシピ研究家。パソコン教師→競馬評論家に転身→IT業界にも復帰。競馬予想は卒業したが、現在も栗東トレセンでニュースやコラム中心の取材を続けている。“ねぇさん”と呼ばれる世話焼きが高じ、AFPを取得しお金の相談も受ける毎日。公式ブログ「ねぇブロ」(http://ameblo.jp/takako-hanaoka/)

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