真冬のハートビートナイターで繰り広げられる熱き牝馬の戦い
12月11日(水)船橋競馬場で行われる『第65回クイーン賞』は、今年の牝馬ダートグレード競走を締めくくる冬の女王決定戦。トロワボヌール、プリンシアコメータ、アイアンテーラーなど前走・JBCレディスクラシックから歩を進めた馬が制覇していることが多いのですが、今年のJBCレディスクラシックは浦和1400mだったため臨戦過程は様々。
例年以上に力の比較が難しいハンデ重賞。また、2015年から昨年まで4年連続して負担重量の軽い地方馬が3着に好走している点も見逃せないところ。年明け1月の大井・TCK女王盃、3月の川崎・エンプレス杯へも続く、重要な戦いです。
アンデスクイーンは条件戦をコツコツと勝ち上がり着実に力を付け、5歳にしてついにブリーダーズゴールドC、レディスプレリュードとダートグレード競走を2連勝。前走は距離適性を考えJBCレディスクラシックではなく、2000mのJBCクラシックに出走。結果は8着でしたが牡馬の一線級に混じって4番人気に推され期待を集めました。56kgが鍵となりますが、本格化した今なら、牝馬限定戦で中心視して良さそうです。
前走のJBCクラシックは8着に敗戦も、牝馬同士なら実力・実績上位のアンデスクイーン(写真は2019年レディスプレリュード優勝時、撮影:武田明彦)
プリンシアコメータは一昨年のクイーン賞でダートグレード競走初制覇。その後、昨年のレディスプレリュード、今年のエンプレス杯と重賞3勝を挙げています。しかしその間、様々な理由で成績が安定していないのも事実。とはいえダートグレード競走での実績はメンバー中ナンバーワン。昨年のクイーン賞は1番人気も不良馬場に泣いて10着に敗れましたが、良馬場で先行できればリベンジ可能。2年ぶり2回目の制覇を狙います。
一昨年のクイーン賞を勝利したプリンシアコメータは昨年10着に終わった雪辱を誓う(写真は2019年エンプレス杯優勝時、撮影:高橋正和)
今年の関東オークスを制した3歳馬・ラインカリーナ。近年のレースを振り返ると2015年1着ディアマイダーリン(53kg)、2016年2着タイニーダンサー(54kg)、2017年2着アンジュデジール(54kg)と3歳馬も活躍。初めての古馬との対戦だった8月のブリーダーズゴールドCでは上記のアンデスクイーン、プリンシアコメータに続く3着と大健闘。前走・太秦S(京都・OP)でも牡馬相手に0秒5差の4着。牝馬同士なら力上位は明らかです。
今年の関東オークス馬ラインカリーナ(写真は2019年関東オークス優勝時、撮影:高橋正和)
トーセンガーネットは関東オークス3着のあと浦和・小久保厩舎からJRAへ移籍。紫苑S(13着)、福島記念(14着)とここ2戦は芝の重賞を試しましたが、今回はダートに戻って改めての戦い。船橋コースは平和賞で東京ダービー馬ヒカリオーソの2着がある舞台。春に桜花賞(浦和)、東京プリンセス賞を共に制したパートナー・左海誠二騎手とのコンビで参戦。52kgも魅力です。
JRAへ移籍した今年の南関東牝馬2冠馬トーセンガーネット(写真は2019年東京プリンセス賞優勝時、撮影:高橋正和)
地方勢を見るとレディスプレリュードの再戦ムードというメンバー。今年もまた地方馬が波乱を演出するのでしょうか。
レディスプレリュードで地方馬最先着は大井のクレイジーアクセル。逃げて、勝ち馬アンデスクイーンから0秒7差の4着。3着ラビットランとはクビ差で、直線は見せ場たっぷり。この結果により、グランダムジャパン・古馬シーズンの女王に輝きました。枠順とラインカリーナとの兼ね合いも気になりますが、今回もとにかく自分のレースをするのみ!
レディスプレリュードでは逃げて見せ場十分だったクレイジーアクセル(写真は2019年ノースクイーンカップ優勝時、撮影:山田康文)
レディスプレリュードは7着だったホッカイドウ競馬のアルティマウェポン。昨年のレディスプレリュードは3着で、クイーン賞は5着。成績を見ると今回は難しそうですが、先行勢が崩れ、末脚が活きる展開になれば浮上する可能性も。
末脚が活きる展開になれば差はないアルティマウェポン(写真は2019年レディスプレリュード出走時、撮影:高橋正和)
昨年のクイーン賞で3着だった船橋のオルキスリアンは前走・トライアルのクイーンズオーディションを勝って再びの挑戦。JRA時代にTCK女王盃を制している浦和のミッシングリンクも参戦。
昨年は3着に好走したオルキスリアンも再び参戦(写真は2019年スパーキングレディーカップ出走時、撮影:山田康文)
JRA所属時にTCK女王盃を制したミッシングリンク(写真は2019年JBCレディスクラシック出走時、撮影:高橋正和)
【イチオシ馬】
・アンデスクイーン
一昨年3歳で出走した際は51kgで6着でしたが、本格化した今ならトップハンデ56kgも克服可能。オイシン・マーフィー騎手と初コンビでダートグレード競走3勝目を狙います。
【気になる馬】
・クレイジーアクセル
船橋コースは昨年5月、東京湾Cを制した舞台。レディスプレリュードでの走りは本物。どこまで逃げ粘れるか、注目です。
アンデスクイーンとプリンシアコメータはこれまで4回対戦してアンデスクイーンが3回先着。ダートグレード競走での実績はプリンシアコメータが上ですが、今年に入っての成長度を考えればアンデスクイーンがやはり今回も先着しそう。この2頭の決着になるのか?若き3歳馬が割って入るのか?地方馬の台頭はあるのか?真冬のハートビートナイターを舞台に、熱き牝馬の戦いが繰り広げられます。
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