毎週欠かさず馬場に関する情報を収集し、自身の予想に反映させるというスポーツニッポンの“万哲”こと小田哲也記者が、“予想に役立つ馬場情報”をコンセプトに、重賞が開催されるコースについて、当週の降水量・前日のレース結果等を踏まえた主観的意見から、よりライブな馬場状態を解説する。
ご存じの通り、京都競馬場の新築工事に伴って、今年の阪神開催は例年とは違った日程で行われている。2019年以前の例年だと、阪神JFは開催2週目で芝はAコース使用。11月から阪神開催が始まった昨年の阪神JF(優勝馬ソダシ)は開催6週目でBコースだった。
今年の秋の阪神開催は10月から始まり、今週が10週目。8週目までAコース使用、先週からBコースになった。JRAホームページでは「向正面直線および正面直線に傷みがあります」とのこと。正面直線の内寄りは見た印象では傷んで見え、各馬が通った後は土が飛んでいるシーンもあったが、土曜に限れば、内を通る馬の台頭も結構ある。時計の出方は決して遅くない。むしろ速いぐらい。個人的には、かなりつかみづらい難解な芝状態だった。
内回りと外回りのレース形態が微妙に違うのも今の阪神の特徴。直線の短い内回りだと、中〜外に出す余裕もない分、傷んだ内寄りをそのまま通る馬も多い。実際、阪神内回り1400mで行われた2R・2歳未勝利戦は5番人気マコトダイトウレンが逃げ切っている。レース前半3F34秒6〜後半3F35秒5と速めのペースで押し切った。勝ち時計1分21秒9は2歳未勝利戦として速い部類。
ただ、阪神JFと同じ外回りの競馬だと、最後の直線の内3〜4頭分は避けている馬も多い。阪神JFを展望する意味では、同じ外回り1600mで行われた11RリゲルSを参考にしたい。
勝った1番人気エアロロノアは4コーナー8番手から、直線は一番外に出して伸びた。逃げたベステンダンク(4着)は内寄りで懸命に逃げ粘っていたが、直線は比較的芝状態の良い中〜外に出した馬の伸びが目立った。勝ち時計1分34秒0。昨年のリゲルS勝ち馬シュリ(1分33秒1)と比べると時計は要したが、これはレース前半3F35秒9の超スローだったことが影響している
9Rエリカ賞(内回り芝2000m)を勝ったサトノヘリオスは1分59秒7の2歳コースレコード。土曜全体としては極端な高速馬場ではないが、まずまず時計は出ていた。
阪神JFはどう見ればいいか? 最終的には中〜外に出した差し馬が伸びる競馬とみている。時計的には1分33秒台後半〜1分34秒台前半あたり。リゲルSを勝ったエアロロノアは馬体重506キロの大型馬。芝が多少傷んできた分、パワーも兼ね備えた馬が優位になりそうだ。