▲今回のテーマは「2021年ベストレース・ワーストレース」 (撮影:福井麻衣子)
藤田菜七子騎手の短期連載「もっと強く。」第2回の今回は、2021年のマイベストレース・ワーストレースを発表していただきます。
馬と積み重ねた日々が結実したうれしい一勝、どうしても最後まで勝たせることができなかったという悔しさ…レースの振り返りを通じて菜七子騎手が、騎手としての“現在の自分”を語ります。
(取材・構成=不破由妃子、スタイリスト=武久真理江、ヘアメイク=横山雷志郎)
「意地悪な先輩? ひとりもいません(笑)」
──続いて振り返っていただくのは、菜七子騎手が選ぶ2021年のベストレース、ワーストレース。ご自身に分析していただくことで、菜七子騎手の競馬観に迫っていきたいと思います。
菜七子 ベストレースは、ネイチャーシップで勝ったレースです(5月15日/新潟5R/芝2400m/3歳未勝利/3番人気1着)。レースでの騎乗は新馬戦以来だったのですが、普段から毎日乗せてもらっている馬で、ゲートは速くないんですけど、この馬のリズムで上がって行けたレースでしたね。
──1枠1番から前半は後方待機。3コーナーから4コーナーにかけて、外目から無理せずポジションを上げていきましたね。
菜七子 はい。展開も上手くいったところはありますが、あのレースを勝ったことは、自分のなかでもすごくうれしかった。
──普段から毎日乗っていて、しかもあと数カ月で番組がなくなってしまう未勝利馬。その達成感は格別だったでしょうね。
菜七子 毎日調教に乗って、担当の方と追い切りはこうしたほうがいいんじゃないか、ああしたほうがいいんじゃないかと話し合ってやってきたことが結果につながって。本当にうれしかったです。
──直線の追い比べも、非常に見応えがありました。
菜七子 もっと楽に突き抜けられるかなと思っていたんですが、意外とフワフワしていて。きっとまだ馬に余裕があるんでしょうけど、ちょっとまだ子供っぽいところもありますね。
──個人的には、新潟のダート1800mを勝ったイントゥザワールドでのレースぶりがとても印象に残っています(5月16日/新潟6R/ダ1800m/3歳未勝利/4番人気1着)。