▲永島まなみ騎手の短期連載スタート!(撮影:桂伸也)
外枠有利が定説の千直で、ただ1頭内ラチ沿いを走って勝つなど、日に日に存在感が増す永島まなみ騎手。先輩騎手からも「上手い」「下半身が安定している」という声が聞こえてきます。
その大きな転機となったのが、名手・横山典弘騎手との出会い。ドキドキしながら思い切って声をかけた時は「めちゃくちゃ緊張しました」とのことですが、その日から多くのアドバイスをいただけるようになったのだとか。
今回からスタートする永島騎手の短期連載では、勝負師としての強さを見せる一方、馬から降りるとおっとりした喋り口調で、まさに“ヤマトナデシコ”な彼女のしなやかな素顔に迫ります。
(取材・構成=大恵陽子)
自分ひとりが内ラチを選択、覚悟の“ポツン”でつかんだ勝利
──今年、成績を伸ばすまなみ騎手。中でも印象的だったのが10月16日の新潟芝1000mで、最内枠を引いたセルレアで内ラチ沿いを走り、15番人気での勝利でした。あの作戦はレース前から考えていたんですか?
永島 開幕週だったので、枠順が出る前から「内枠を引いたら、外にこだわらずに競馬をしよう」とは思っていたんですけど、いざ枠が出るとまさに1枠1番。
セルレアはこれまで何度も乗せていただいていて、昨年10月に2着に来た時は外ラチを頼らせるとすごくいい走りをしたので、それだったら外ラチじゃなくて内ラチを利用してみようかな、と思いました。深山先生からも「任せるから」と指示いただいたので、腹をくくって内ラチに行きました。
▲新潟芝千直を内ラチ沿いから勝利したセルレア(ユーザー提供:あおいろさん)
──レースは内にまなみ騎手騎乗のセルレア1頭、外ラチ沿いにその他17頭という形でした。たった1頭で不安はありませんでしたか?
永島 前日の千直で内に行った馬が2頭いたので、誰かしらついてくるだろうなと思っていたんですけど、いざスタートしたら誰も来なくて、「あれ、来ないんだ」と、ちょっとドキドキしながら乗っていました。それでもセルレアは、1頭で最後まで集中して走ってくれていました。
──外から伸びてきた2着馬とはアタマ差。内外でかなり離れていましたが、ゴールの瞬間は勝ったと分かりましたか?
永島 全く分からなくて。地下馬道を降りていく時に(今村)聖奈ちゃんや丸山元気さんから「勝ったんちゃう?」「いやー、分からないです」と話しながら検量室まで戻りました。
検量室に入っても写真判定でなかなか分からなかったんですけど、(団野)大成さんから「勝ったなー!」と聞いて、「え、勝ったんだ!」と自分でもビックリしました。美浦の丹内さんや嶋田さんからも「おめでとう」と言っていただいて、嬉しかったです。
──昨年のアイビスサマーダッシュでは最内枠のバカラクイーンが内ラチ沿いでレースをしたことがありましたが、そういったことが脳裏に刻まれていたのでしょうか?