今月25日のブリーズアップセールでどの馬が高額取引されるか注目
昨年、各地で開催された1歳市場にてJRAが購買し、宮崎と日高の2か所に分かれて調教を積まれてきたJRA育成馬の展示会が、去る11日(火)、浦河のJRA日高育成牧場にて開催された。
この日、お披露目されたのは、牡31頭、牝28頭の計59頭。すでに宮崎育成牧場では前週に同様の展示会が開催されており、22頭の育成馬が関係者にお披露目されたばかり。この22頭と日高育成牧場の59頭を合わせて合計81頭が来る4月25日(火)に中山競馬場にて開催予定のJRAブリーズアップセールに上場されることになる。
日高育成牧場での展示会は午前9時より、まず全体を6班に分けての比較展示からスタートした。天候は薄曇りで比較的暖かく、この時期としては過ごしやすい気候に恵まれて、開始時間になると、調教師や各地から集まった育成馬の生産者などが、名簿を片手に1頭ずつ成長した2歳馬たちを熱心に見て回った。
▲日高育成牧場での展示会風景
これら育成馬は、JRA職員たちによって、日々調教を積まれており、3月にはBTC坂路にてハロン15秒程度まで、屋内800mトラックでハロン20秒程度まで、乗り込まれて来ている。今年の日高地方は、3月に入り例年よりも温暖な気候に恵まれたため、外の馬場の使用開始時期も早くなったことから、例年以上に順調に調教を行なえたという。
その成果が見られたのは、比較展示の後に実施された、騎乗供覧である。騎乗供覧は、毎年、比較展示の後に関係者の見守る中、日高育成牧場に隣接したダート1600m馬場を使用して行われており、2頭併せで向正面からスタートして、4コーナーの残り2ハロンから追い出し、ゴール板まで速度を上げて走り抜ける。
この騎乗供覧には、BTC育成調教技術者養成研修生たちも育成馬に騎乗するのが習わしで、1年間の訓練の成果を試す格好の「晴れ舞台」ともなっている。今年も24名の研修生のうち16名が元気よく育成馬に乗る姿が見られた。
▲育成馬に乗る研修生たち
今年の騎乗供覧は、例年よりも意識的にタイムを抑え、2ハロンを14秒〜13秒くらいでまとめて、必要以上に時計を出さずに、しっかりと僚馬と併せることに主眼を置いた供覧になっていたのが、昨年までと大きく異なる点である。調教が進めば、前進気勢の強い馬ほど行きたがるものだが、それを敢えてきちっと制御し、我慢をさせながら、ペアを組む2頭がぴったりと馬体を合わせて、走路を駆け抜けるのだ。
従来、どうかすると、併せ馬のはずが、残り1ハロンを過ぎたあたりから前後に大きく差がついたり、あるいは、内外に離れて走行する例が少なくなかったのだが、今年は、その点、ほとんどの馬がしっかりと併走できているのには驚かされた。
そのため、例年と比較すると時計が遅いのだが、参考までに最速タイムを記しておく。1班2組目に登場した38番(ゼッケン番号。これはブリーズアップセールの上場番号でもある。)ハートフル2021(牡、父マクフィ)と、39番サパス2021(牡、父キンシャサノキセキ)のペアによる25.6秒(13.0、12.6)であった。
▲最速タイムを記録した38番ハートフルの2021(写真右)と39番サパスの2021(写真左)
また1ハロンの最速では、その次に登場した1班3組目の68番サクラベッシー2021(牡、父ビーチパトロール)の12.1秒であった。
▲1ハロンの最速を記録した68番サクラベッシーの2021(写真左)
ところで、JRAブリーズアップセールは毎年、上場馬が完売することでも知られる。昨年も70頭が上場され、100%の売却率を記録し、計7億7902万円(税込み)を売り上げた。
その後、3歳になった昨年の取引馬たちは、現時点で、中央では10頭が勝ち上がっており、計14勝を挙げている。出世頭は、リバーラ。牝で父はキンシャサノキセキ。5戦2勝3着1回で3645万5千円の獲得賞金である。昨年11月5日のファンタジーステークスを勝っている。
続く活躍馬はウメムスビ(牡、父ファインニードル)の8戦2勝2着1回、獲得賞金2663万1千円。昨年9月24日にカンナステークスを制している。
さらにモンドプリューム(牡、父サトノダイヤモンド)が9戦2勝2着2回の1964万8千円(10月15日プラタナス賞)、シルフィードレーヴ(牝、父アメリカンペイトリオット)が4戦1勝ながら小倉2歳ステークス3着の実績から1589万8千円を稼ぎ、オバケノキンタ(牡、父マクフィ)が6戦2勝で1540万円の獲得賞金と、ここまでが賞金順では上位5傑となっている。
まだ3歳4月であり、これから8月末までの間に勝ち上がる馬も出てくるだろう。今月25日のブリーズアップセールではどんな馬が高額で取引されることになるか。またその中からどの馬が頭角を現してくるか。注目しておきたいと思う。