▲今年日本馬として唯一出走を予定しているスルーセブンシーズ(撮影:下野雄規)
10月1日に行われる今年の凱旋門賞。日本からは5歳牝馬スルーセブンシーズが出走を予定しています。
当レースにはこれまでに、稀代の名馬と称されたディープインパクトやオルフェーヴルを含む延べ33頭の日本馬が挑戦するも、その高い壁に跳ね返されてきました。そんな中、スルーセブンシーズの現在の主な勝ち鞍は中山牝馬S(GIII)。決して頭抜けた実績の持ち主というわけではありません。
しかし、血統評論家の栗山求氏は同馬の出走について「一発大駆けがあっても不思議はない」とかなりの期待を感じています。そこには、これまで日本馬が戦ってきたことによる蓄積されたデータに理由が──。
(文=栗山求)
ステイゴールド産駒が凱旋門賞で強い理由
凱旋門賞はサドラーズウェルズを持つ馬が強い。2010年以降の13年間で、この血を持たずに凱旋門賞を勝った馬はたった2頭。秋のロンシャン競馬場は雨にたたられて馬場が悪化しやすい傾向がみられるが、そうした馬場も同馬の産駒は抜群に上手い。
そんな状況にあって、ステイゴールド産駒が3回連対を果たしているのは、驚きを通り越して感動的ですらある。ヨーロッパ競馬とは異なる歴史背景を持ち、競馬のスタイルも馬場もまったく異なる極東の国。そこで育まれた1頭の種牡馬が、なぜ、これほどまでに凱旋門賞に適性を示しているのだろうか。