▲独自データで見る二冠馬リバティアイランドの強さ(撮影:下野雄規)
前走のオークスを6馬身差で圧勝し、今週末の秋華賞で牝馬三冠を狙うリバティアイランド。その異次元的な強さはどこにあるのか? 競馬アナライザーのMahmoud氏が独自の視点でどこよりも深く濃く分析します。
新馬戦で記録した上がり3F31.4秒の真の価値や、過去の桜花賞馬であるハープスター、アーモンドアイとの比較、オークスで見せた川田騎手との人馬一体を言語化。
そして、秋華賞の舞台となる未経験の内回りコースはリバティアイランドの走りにどのような影響を与えるのでしょうか──。
※本編に掲載される個別ラップタイムや平均完歩ピッチなどは、公式発表されたデータではなく、Mahmoud氏が独自に計測しているデータであることを予めご了承ください。
(構成・文:Mahmoud)
「単なる上がり31.4秒じゃない?」“ゴールに近づくにつれストライドが伸びた”衝撃の新馬戦
▲リバティアイランドの個別ラップタイム(提供:Mahmoud)
1200m以上の施行距離における上がり600mのラップタイムのランキングは当然0.1秒間隔で各馬がひしめいているのですが、新馬戦でのリバティアイランドのそれは0.4秒も突き抜けた値。これだけでも常識外と捉えて問題ありませんがその真価はラップタイムだけにはあらず。
この新馬戦でのラスト600mにおける自身のラップタイムは10.80-10.20-10.40とラスト400〜200mが最速ですが平均ストライド長(歩幅を平均した値)は7.74-8.04-8.21m。最高速をマークした後は徐々にピッチが遅くなりストライドも狭くなっていくのが普通ですが、リバティアイランドはゴールに近づくにつれストライドは伸びているのです。
つまり超高速上がり600mをマークした要因はキレ味豊かな末脚の質ではなく高スピードの持続力が図抜けている点。新馬戦の直前追い切りではラスト400mを11.3-11.1で駆け抜け200m毎の平均完歩ピッチ(1完歩に要する時間を平均した値)は0.421-0.429秒、平均ストライド長は7.46-7.73m。
ピッチを遅くしても加速するほどストライドを伸ばしてラスト200mを走っており、11秒台前半のラップタイムレンジにおいてこのような形で加速していくケースは正直初めて見ました。新馬戦を走る前の段階から既にリバティアイランドは稀有な存在である「モンスターなお嬢さん」だったのが事実です。
▲ピッチを落としても加速する要因はストライド幅にあり(撮影:下野雄規)
ハープスターにアーモンドアイ…過去の名牝以上に多彩なストロングポイント
ハープスターやアーモンドアイと同じように後方からの鮮やかな追い込みで勝利した桜花賞での自身の前後半のラップタイムは47.60-44.50。48.55-44.75だったハープスターより後傾度は若干少なかったものの48.10-45.00だったアーモンドアイとペースバランスは同等でした。
ハープスターとアーモンドアイ