障害ジョッキーの白浜雄造騎手の奥様が、一昨年の落馬から復帰を目指して奮闘する夫と家族のリアルな姿を描く連載コラム。
名医・中山晴雄先生の診察を受けるため、夫婦は2度目の東京へ。今後のリハビリや新たな検査について、アドバイスを受けました。その中で、生き物相手の乗馬は危険もあり、薦められないとのお話に...。
先日、久しぶりに乗馬ができたことを喜んでいた雄造騎手。鬼嫁が「競馬に対する強い気持ちを目の当たりにした」夫の回答とは...?
乗馬に関する医師の判断「今はまだおすすめできません」
6月7日、乗馬苑で思いがけず騎乗させてもらった夫は、指示が通らなかったことに落ち込みながらも、とてもうれしそうでした。馬に乗ることで脳に刺激が入り、回復が進むかもしれない──。
そんな期待感はあったものの、受傷から1年経っていないこの段階で、乗馬用の馬といえども騎乗を再開していいものか。私は迷いました。幸い、10日後に東邦大学の中山先生の診察予約が入っていたので、その可否は先生に相談することにして、ひとまずひとりで馬に乗ることはやめてもらうことにしました。
2023年6月16日。東邦大学大橋病院・中山晴雄先生の2回目の診察を受けるため、私たちは東京へ向かいました。
前回同様、看護師さんによる問診やテストなどがあり、2時間ほど待ったのち、中山先生の診察が始まりました。
中山先生に普段受けているリハビリの様子や、回復の度合い、現在の課題が正しくお伝えできるように、療法士の先生方に報告書を書いてもらっていたので、まずは読んでいただくことに。
報告書を読んだ中山先生は、「療法士や乗馬苑のみなさん、そしてご家族である奥様も、非常に一生懸命、そして適切に関わっていらっしゃると思います。このまま続けていただき、ここにどう新しいリハビリをアドオンするかですね」と切り出し、続けて以下のような評価と提案をくださいました。
「ご本人の自覚症状が“ふらつき”“めまい”と限定的ですね。高次脳に関しては、自覚がないように感じます。体についてもバランスや耐久性などに問題があります。入院していた病院で受けた心理検査の結果を見ると、ワーキングメモリ、プロセスメモリに低下が見られます。これを改善させないといけませんね。