
▲佑介騎手と坂井瑠星騎手の対談第4回!(撮影:桂伸也)
“競馬が一番”という気持ち
──早いもので、瑠星さんも10年目。気づけばアラサーなんですね。
佑介 さっき、瑠星がデビューした頃の写真を見ていたんですけど…。“垢抜ける”ってこういうことなんやなぁと思いましたよ。今やすっかりイケメン枠で、キャーキャー騒がれて。あんなに頼りなさそうな感じやったのになぁ。
瑠星 強くなりました(笑)。
佑介 後輩からも「瑠星さん、瑠星さん」と慕われて、目標とされているのを感じるよ。まぁ難しいけどね、実際に瑠星のようになるのは。瑠星にはもともと手足の長さが備わっていて、2年目から海外で修行をさせてもらえる環境もあった。何より、遊びたい年頃特有の気の緩みみたいなものが、瑠星にはまったくなかったから。

▲初々しいJRA初勝利時の瑠星騎手(c)netkeiba
瑠星 遊びたいと思う暇がなかったんですよね。仕事だけに向き合わざるを得ない環境に置いてもらっていたので。我慢したとかも全然ないですし。
佑介 それがすごいよ。遊びたいけど我慢している…という子は、やっぱりどこかでほどけちゃう。ダメになるわけではないんだけど、「ああ、この子いいなぁ」と思っても、止まっちゃうんだよね。デビューから5年くらいの間に、そうなってしまう子をたくさん見てきた。
もちろん、遊んでいるからダメというわけではないよ。いくら遊んでいても、自分のなかで競馬が一番だったらそれでいい。でも、なんか気持ちが途切れちゃうというか、競馬が一番じゃなくなっているのが透けて見えちゃう子が多いというか。その点、瑠星は確かに周りの期待ほど勝てなかった時期もあるけど、とにかくずっと“競馬が一番”という気持ちに隙がなかった。今の瑠星があるのは、そこが一番デカいんじゃないかなと思う。
──確かに、瑠星さんから「遊びたいのに我慢している」という雰囲気を感じたことは一度もないですね。
瑠星 今もそうですけど、向上心しかないというか、遊んでいる場合じゃないだろとずっと思っていました。ありがたいことに、けっこう忙しくさせてもらっているので、余計なことを考えている暇もないですし。最近でいえば、サウジとドバイのことが常に頭のなかにあって、何をしていてもそれらのことが頭から離れないです。
──そんな忙しい日々のなかで、たまに家でゆっくりできる時間があったとしたら、何をして過ごしているんですか?
瑠星 最近はとくに、家にいる時間自体があんまりないんですよね。この前、「久しぶりに家で座ったなー」と思ったくらい(笑)。大げさではなく、本当にそう思ったんですよ。

▲「久しぶりに家で座ったなー」というくらい家にはいない(撮影:桂伸也)
佑介 自炊したりしてるの?
瑠星 自炊は