
▲大舞台・有馬記念を直前に控えた松本大輝騎手にお話を伺いました(撮影:小田穂乃実)
12月28日、中山競馬場で行われる第70回有馬記念。暮れの大一番にミステリーウェイと松本大輝騎手のコンビが挑みます。
アルゼンチン共和国杯を圧巻の逃げで制し、待望の重賞初制覇を果たした松本大輝騎手。苦悩した時期を経て、先輩からの助言や意識改革により飛躍を遂げたデビュー5年目の現在地に迫ります。そんな中、コンビで掴んだ大舞台への切符。「もう一段階攻めた乗り方」で狙う大舞台への覚悟とは。
(取材・構成=小田穂乃実)
初重賞制覇も「うまくいきすぎたなという感じ」と謙虚
──前走アルゼンチン共和国杯は圧巻の逃げで快勝を収めました。どのようなレースプランだったのでしょうか?
松本 東京の2500mを逃げ切っている馬があまりいなかったので、難しいコースかなというのはありました。スタートしてから逃げるぞっていう姿勢を見せると馬が嫌気を差すので行くなら行っていいよというスタンスで、馬に任せる競馬をしました。ただ、切れ味がないのでそういう展開にはならないようなペース作りをしようということは考えていました。
──道中は後続を大きく突き放しながらも、直線ではさらに加速して力強く伸びていました。
松本 逃げたら楽なペースで行きたいと思いがちですが、そうではなくこの馬が行きたい時に行かせて、それを抑えたりはせずに、ハミは取るなら取らせて、取らないなら取らせないというような感じで行くと、後続を離したり、急に距離が詰まったりというような流れになりました。
そうなると後ろにいる馬たちは追いかけないといけなくなってしまい、そこで脚を使った結果、こちらの方が余力が残っているという形になりました。4角では馬はいい意味でボケーっとしていて、走るスイッチが入っていませんでしたね。動かしていくと、“走らないといけないのか”という感じで意外とハミを取ってくれました。前半で馬にストレスを与えないで走ることができたからだと思います。

▲重賞初制覇となったアルゼンチン共和国杯(撮影:下野雄規)
──初めての重賞制覇になりましたが、ゴール後はどのような気持ちでしたか?
松本 ちょっとびっくりしましたね。自分には