【チャンピオンズC】立ちはだかる6歳の壁 レモンポップは史上2頭目の連覇なるか
引退レースで有終の美か世代交代か
これまでチャンピオンズカップで連覇をめざした馬は11頭いたが、達成したのは2011年のトランセンド1頭だけ。如何に大変かがわかる。今年はレモンポップが、史上2頭目の快挙をめざしている。
トランセンドが走っていた頃は、ジャパンカップダート時代で、阪神で行われていた。4歳時に前走のみやこSを逃げ切って重賞2勝目を挙げ、1番人気に応えて開業16年目の安田隆行調教師にGI初制覇をもたらせていたが、感極まって涙が止まらなかった姿は、今でもはっきり覚えている。トランセンドは5歳で迎えた翌年は、フェブラリーS、さらには南部杯とタイトルを積み上げ、ドバイワールドCでも2着と世界にアピール、その存在は一段と大きくなっていた。行かれたら負ける、断固譲らずと大外枠から一気に逃げ、ここでも1番人気に応えて連覇を成し遂げていた。ところが6歳になった翌年は、一気にハナに立つという競馬が出来ずにダートのGI4戦ともに勝てずに終わっていた。
この6歳で連覇に挑んだ馬はこれまで5頭いたものの、2001年のウイングアローと2021年のチュウワウィザードの2度の2着があっただけ。3連覇を狙ったトランセンドでさえ6歳時には16着に敗れていたのだから、この6歳の壁はかなり厚い。
今年連覇を狙うレモンポップは6歳馬、この壁を克服して史上2頭目の記録を達成できるか、大いに注目したい。と言うのも、昨年は春にフェブラリーSを勝っていて、それにこのチャンピオンズCも勝ち、史上4頭目の同一年ダートGI連覇を達成していたのだ。昨年はキャリア14戦目で初めて1800米を逃げ切りでこなしていたし、6歳になった今年も、さきたま杯、休みをはさんでの前走の南部杯と圧巻の走りでGI級競走を連勝、国内では、6連勝中と勢いがスゴイ。ただ、一気にハナに立ち、一人旅で逃げ切った南部杯の連覇だが、走破タイムが明らかに劣っていて、ラストランの今回は余力が感じられないのが気がかりだ。
今年のフェブラリーSを11番人気で勝ったペプチドナイルはどうだろうか。その後かしわ記念3着、南部杯がレモンポップと一騎打ちとなり4分の3馬身差の2着だから、成績面からは圏内に入れたくなるが。もともと1800米で3勝しており、おろそかにできない。
ただこの2頭はどちらも6歳馬、やはりここは5歳馬も考えておくべきだろう。世代交代を告げる有力候補なら、昨年2着のウィルソンテソーロが力をつけてきた。佐賀で行われたJBCクラシックでGI級初勝利を飾った。全体に走破タイムは遅かったが、上がりの速い競馬で、その中でウィルソンテソーロの脚は際立っていた。この4馬身差は並ではない。ダート馬として完成していく姿がここで見られても不思議ではないだろう。
「ブラボーと ダートの王者 祝福し」