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今年のJRA・GIはロードカナロア産駒が独占中! ベラジオオペラの勝利には配合の優秀性が

  • 2025年04月07日(月) 18時00分
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血統で振り返る大阪杯


【Pick Up】ベラジオオペラ:1着

 ロードカナロア産駒のベラジオオペラ、ロードデルレイがワンツーフィニッシュを決めました。ベラジオオペラは2年連続制覇です。

 今年に入ってJRAで行われた3つのGIは、フェブラリーS(コスタノヴァ)、高松宮記念(サトノレーヴ)、大阪杯(ベラジオオペラ)と、すべてロードカナロア産駒が勝っています。ダート、芝短距離、芝中距離と、異なるカテゴリーを横断して勝ち馬を出したのは偉業でしょう。その父キングカメハメハもかつてはオールラウンド型種牡馬の代表のように語られましたが、息子のロードカナロアは以前に比べてそうした傾向が強まっているように感じます。

「ロードカナロア×ハービンジャー」は連対率38.0%、1走あたりの賞金額1213万円、勝馬率55.5%。ロードカナロア産駒全体の成績はそれぞれ19.6%、239万円、42.3%ですから、ハービンジャーを母の父に持つ配合の優秀性が際立ちます。父ロードカナロアのスピードと、母の父ハービンジャーが伝えるスタミナや成長力がうまくマッチするのでしょう。

 ファミリーは、エアシャカール(皐月賞、菊花賞)をはじめ多くの活躍馬が出ている名門アイドリームドアドリーム系で、社台ファームが輸入し、育ててきた名牝系です。母エアルーティーンはエアアンセム(函館記念)の半妹、2代母エアマグダラはエアメサイア(秋華賞、ローズS)とエアシェイディ(AJCC)の全妹、3代母エアデジャヴーはクイーンSの勝ち馬です。

血統で振り返るチャーチルダウンズC


【Pick Up】ランスオブカオス:1着

 父シルバーステートはエエヤン(ニュージーランドT)、ウォーターナビレラ(ファンタジーS)、セイウンハーデス(七夕賞)、リカンカブール(中山金杯)などの父。

 シルバーステートは現役時代、屈腱炎のためわずか5戦で引退。重賞の晴れ舞台を踏む前のことだったので、初年度の種付け料はわずか80万円(受胎条件)でした。ところが、決してハイレベルとはいえない繁殖牝馬を相手に優れた成績を残し、8年目の今年、種付け料は6倍以上の500万円に設定されています。ディープインパクトの後継種牡馬のなかではキズナ、コントレイルに次ぐ3位タイ(リアルスティールと同額)です。

 母方にダンスインザダークを持つシルバーステート産駒は成功しており、連対率25.5%、1走あたりの賞金額272万円、勝馬率58.3%。シルバーステート産駒全体の数字は、それぞれ15.2%、139万円、29.0%なので、成功確率の高い配合パターンであることがお分かりいただけると思います。シルバーステート産駒は、サンデーサイレンスとニジンスキーのクロスが双方成功しているので、「サンデー×ニジンスキー」の組み合わせのダンスインザダークが入る配合は上手くいくのでしょう。

 このパターンの配合は芝1600~2000mで好結果を残しています。日本ダービーよりも皐月賞に向いた馬だと思います。

知っておきたい! 血統表でよく見る名馬


【ガルドロワイヤル】

 アイルランドで誕生し、フランスで走りました。デビューは3歳夏と遅く、翌年5月にラクープ(仏GIII・芝2400m)、6月にジャンドショードネイ賞(仏GII・芝2400m)を連勝しました。

「ミルリーフ×シカンブル」というスタミナ血統だったため、主に障害用の種牡馬として供用されたのですが、数少ない平地での活躍馬にカーリング(仏オークス、ヴェルメイユ賞)、ガゼルロワイヤル(英オークス2着、ヴェルメイユ賞2着)がいます。

 この2頭は日本に輸入され、前者はローエングリン、エキストラエンド、リベルタス、ブレーヴハートを産みました。4つの重賞を制覇したローエングリンは、スタミナ型のカーリングを母に持ちながら抜群のスピードを誇り、芝1600m1分31秒9のコースレコードでマイラーズCを勝ちました。カーリングはシカンブルやワードンといった激しい気性を伝える血を内包しています。それが“前向きな気性の圧倒的なスピード”というローエングリンの個性を形作る要素だったのではないかと思います。

 ローエングリンはロゴタイプ(皐月賞、安田記念、朝日杯FS)やトーセンスーリヤ(函館記念、新潟大賞典)の父となり、ランスオブカオス(チャーチルダウンズC)の母の父となりました。

血統に関する疑問にズバリ回答!


「最も多くの賞金を稼ぎながらチャンピオンサイアーになれなかった種牡馬は?」

 キングカメハメハは2010、11年に2年連続で首位種牡馬の座につきました。ただ、獲得賞金のパーソナルベストはこれらの年ではありません。

 種牡馬キングカメハメハの最大の当たり年は2015年。2歳、3歳、古馬とそれぞれのカテゴリーで大車輪の活躍をみせ、ラブリーデイ、ドゥラメンテ、レッツゴードンキ、リオンディーズの4頭がGIを制覇。53億円あまりを稼ぎ出しました。

 残念ながら、ライバルのディープインパクトがその上を行く69億円あまりを稼いだので、チャンピオンサイアーのタイトルには手が届きませんでした。

 2位の種牡馬が50億円以上の賞金を稼いだのは、わが国の競馬史上、2015年のキングカメハメハしかいません。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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