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穴ジョッキーの血が騒いだ!? 12番人気ラヴェルを2着に導いたエリザベス女王杯の“真実”を語る【月刊 川田将雅】

  • 2024年11月22日(金) 18時03分
“VOICE”

▲ラヴェルと挑んだエリザベス女王杯を振り返る(撮影:福井麻衣子)


今月10日に行われたエリザベス女王杯では、12番人気のラヴェルに騎乗し2着となった川田騎手。近走成績を落としていたラヴェルに初騎乗となりましたが、どんなテーマを持って臨んだのか──。

「引っ掛かった」「レガレイラに蓋をした」とも見られましたが、川田騎手の脳内には全く違う思考がありました。ラヴェルの力を発揮させるための繊細なアプローチに迫ります。

(取材・構成=不破由妃子)

「まずは動ける態勢作りをすること。そこに重きを置いて乗りました」


──先のエリザベス女王杯では、12番人気のラヴェルで2着。川田さんが12番人気なんて珍しいなぁと思って注目していましたが、終わってみればしっかり2着ですからね。穴ジョッキーとして名を馳せていた頃の川田さんを思い出しましたよ。

川田 そう言われている時代もありましたねぇ(笑)。

──ラヴェルが12番人気というのは把握されていたんですか?

川田 もちろん。今回はGIですから、近走の成績からすれば正当な人気だと。

──ラヴェルは難しそうな馬というイメージがあったのですが、今回は最初のコーナーまでにきっちり馬の後ろに入れて、4コーナーまでリズムよく運んできたように見えました。一体、川田さんは何を意識して、何を施したんだろうと思って。

川田 走れるバランス、走れる態勢を作ったというところですね。

──ダノンキングリーの安田記念のときも同じようなことをおっしゃっていましたね。あのときも8番人気の人気薄で。

川田 やっている内容は違うけど、似たような感じです。まずは返し馬で、結果が出ていないのはなぜか、僕なりに理解するところから始めました。それ以前に、パドックで跨ってみると、やっぱり背中のいい馬なんですよ。返し馬でもポテンシャルの高さは感じる。

 でも、僕の感覚としては、現状、体を上手く使えていない。その理由として、能力的にしんどくなってその走りになっているのか、ただ体を使えていないだけで、使わせることができればしっかり走れるのか。それは競馬に行ってみないとわからない。だから、走れる可能性を残すために、返し馬、ポケット、ゲート裏と、限られた時間のなかででき得る限りのことをやってみたという感じです。

“VOICE”

▲返し馬でも高いポテンシャルを感じたラヴェル(ユーザー提供:ともやんさん)


──具体的にやってみたことというのは?

川田 すごく細かいことなので、ここで説明するのはちょっと難しいです。ただ、いろいろ教えないといけないし、それをラヴェル自身に理解してもらうことも必要でした。ただ先ほども言ったように、やることをやったとしても、実際の競馬で体を使って走れるかどうかは走ってみないとわからないところなんですけど。

──16番枠から中団の外目をキープ。そのあたりは思い描いた通り?

川田 正直、レース前にポジションは何も考えてなかったです。なにより体を使って走らせることが最優先で、ポジションは優先事項ではなかった。

 僕がラヴェルから感じた結果が出ていない理由からすると、まずは走れる状態にすることが大事なわけで、能力を出せる走りをしていない状態でポジションだけ取りに行っても、結局走り切れずにいい結果には繋がりませんから。つまり、極端にいえばポジションを選択するほどの余裕はない。まずは動ける態勢作りをすること。そこに重きを置いて乗りました。

1〜2コーナーで頭を上げるシーンも…「あれは意図的にやっていることです」


── 1〜2コーナーで一瞬頭を上げるシーンもありましたが、川田さんが目指したラヴェルの走りは実現した?

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1985年10月15日、佐賀県生まれ。曾祖父、祖父、父、伯父が調教師という競馬一家。2004年にデビュー。同期は藤岡佑介、津村明秀、吉田隼人ら。2008年にキャプテントゥーレで皐月賞を勝利し、GI及びクラシック競走初制覇を飾る。2016年にマカヒキで日本ダービーを勝利し、ダービージョッキーとなると共に史上8人目のクラシック競走完全制覇を達成。

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