
須貝尚介厩舎の今浪隆利元厩務員、榎本優也調教助手(撮影:大恵陽子)
競走馬同士のなかよしエピソードをご紹介する不定期連載「ズッ友コレクション」。第二弾は、同厩舎で同い年のゴールドシップ×ジャスタウェイです。
吠えて、蹴って、立ち上がって、とかなり個性が強かったゴールドシップですが、彼が唯一心を許したのがジャスタウェイ。同馬の後ろを歩くと、ふっと力が抜けたといいます。切磋琢磨した2頭は良きライバルでもあり、やがて春秋グランプリホースと世界ナンバーワンホースへと成長。ところが、密かに燃やしていた闘志もあったといいます。ゴールドシップを担当した今浪隆利元厩務員、ジャスタウェイを担当した榎本優也調教助手に当時を振り返っていただきました。
(取材・構成:大恵陽子)
「一度だけ、ジャスタウェイが後ろを歩くと吠えて蹴りに行った」
──馬房が隣同士だったという2頭。馬房での2頭の様子はどうでしたか?
榎本 ジャスタウェイは大人しくしていました。
今浪 ゴールドシップは馬房前の通路を人間が通ると飛びついてきて危ないから、そこは通らずに一旦外に出て迂回してほしい、と伝えていました。隣が大人しいジャスタウェイでだいぶ助かりました。周りの馬が暴れたりして自分の世界を邪魔されるとカーッとくるタイプ。私もそれを邪魔して馬房に入ろうとしたら飛びつかれていました。
榎本 ジャスタウェイは2歳の頃は床に敷いてあるゴムマットを剥がして遊んだりしていましたけど、それ以外は大人しかったです。周りの馬が暴れると、自分も馬房の壁を蹴る馬もいますけど、ジャスタウェイはそういうこともなかったです。

並んでお食事中のゴールドシップとジャスタウェイ(提供:榎本優也調教助手)
今浪 ジャスタウェイは大人しくて素直な馬なので、ジャスタウェイの後ろを歩くとハミが外れたような感じがしました。
──ふっと力が抜けるんですね。
今浪 だけど一度だけ、引き運動でジャスタウェイが後ろを歩いた時にゴールドシップがワーッて吠えて蹴りに行ったことはありました。
榎本 全然覚えてないです(笑)。ジャスタウェイは特にゴールドシップを気にする様子はありませんでした。馬によっては誘導している時にピタッと直後をついて来られたり、相手に合わせて待つことがあるとカリカリしてくることもあるんですけど、ジャスタウェイは大人しい馬なのでそういうことはありませんでした。