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【香港回顧・後編】ラヴズオンリーユーと海外G1連勝 厳しいマークも「あれくらいで慌てるわけがない」

  • 2021年12月24日(金) 18時02分
VOICE

▲ラヴズオンリーユーのラストランと、今年1年を振り返ります(C)netkeiba.com


今回が「VOICE」の年内最終更新。12日に行われた香港国際競走の回顧を、23日24日の2日連続で振り返ります。

ラヴズオンリーユーのラストランとなった香港カップ。アメリカのBCフィリー&メアターフを勝利後、そのまま香港入りした同馬。海外転戦は、さすがに状態に影響したようですが、「すべての要素を把握した上で、競馬を組み立てた」と川田騎手。

今回はレースの振り返りと、2021年の総括をお届けします。

※このインタビューは電話取材で実施しました
※年明けの更新は1/13を予定しています

(取材・構成=不破由妃子)

アメリカからの輸送の影響は感じていた


──最後に振り返っていただくのは、ラヴズオンリーユーで挑んだ香港カップ。BCフィリー&メアターフに続く海外G1・2連勝で、これ以上ない有終の美をもって現役生活を締めくくってくれました。とはいえ、矢作調教師のコメントで知りましたが、アメリカから香港に着いた際は、調子が落ちていたそうですね。

川田 香港に着いた翌日の水曜日(12月8日)に追い切りに乗りましたが、あまり感触はよくなかったです。その前にデルマー競馬場での追い切り映像を見ていたんですけど、そこではいい動きをしていたんです。だから安心していたんですが、実際に乗ってみたら硬さがあって。やっぱりアメリカからの輸送が響いているのかなぁという印象でしたね。

──水曜日の追い切りを終えた時点で、レース当日までの調整日は残り3日間。どういった策を施したのですか?

川田 木、金、土と毎日ウォーキングマシンで少し歩いて、装鞍後に僕が乗り、まずはしっかり歩くことから始めました。背中を使い、首を振って、後肢を深く踏み込んで、前肢を上げて前に伸ばす。そういう歩きができるように少しずつ求めていき、その後、速歩(はやあし)で背中と首、さらに四肢周りの筋肉をほぐし、後肢の動きを作って、硬さがより強く出ていた左前脚をほぐしていく。そういう作業を続けました。

 その3日間は角馬場での調整でしたが、その都度、(吉田)一成くん(ラヴズ担当の調教助手)に「これで運動量足りてる?」と確認して。ラヴズに適した運動量が僕はわからないので、そこは一成くんの判断を仰ぎながら、調整を進めていきました。

VOICE

▲BCフィリー&メアターフ出走前、調整中のラヴズオンリーユー(C)netkeiba.com


──限られた時間ではありましたが、少しずつ改善されていった?

川田 当日までに、ある程度は改善できました。ただ、ブリーダーズカップのときのほうが、はるかに状態はよかったです。ブリーダーズカップでは、返し馬に乗った時点で「これなら大丈夫、普通に勝ちに行ける」と思えましたが、香港カップの返し馬では「この感じか。さて、どうしようか」と。

──香港カップでは、不安を抱えたままゲートインしたと。

川田 不安とは違います。状態的には、

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1985年10月15日、佐賀県生まれ。曾祖父、祖父、父、伯父が調教師という競馬一家。2004年にデビュー。同期は藤岡佑介、津村明秀、吉田隼人ら。2008年にキャプテントゥーレで皐月賞を勝利し、GI及びクラシック競走初制覇を飾る。2016年にマカヒキで日本ダービーを勝利し、ダービージョッキーとなると共に史上8人目のクラシック競走完全制覇を達成。

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