朝日杯は2歳暮れの大レースとして長い伝統を誇る。1991年に2歳GIが牡牝で区別されて以降は、朝日杯の勝ち馬がそのまま
最優秀2歳牡馬に選出されることが続いてきた。しかし、2014年に中山から阪神にコースが変更されたのと同時に、2歳の大レースとしてもうひとつ
ホープフルSが用意され、昨年からはGIに昇格。朝日杯の重要性が相対的に低下しているのは、やむを得ないところだ。
1.瞬発力勝負の様相が強まる
阪神移動以降の4年間でフルゲート18頭立てになったのは2回。今年は一週前登録が16頭、回避予定の馬などを入れると最低で13頭立てになる可能性がある。メンバーが分散しやすくなった結果、レース展開も緩くなりがちで、最近3年間はレースの上がり3Fが34.4、34.8、34.0。終いのキレ味が問われる瞬発力勝負の性格が色濃くなっている。
2.京王杯との親和性が高い
2015年は
京王杯2歳S3着から臨んだ
シャドウアプローチが11番人気で3着、2016年は
京王杯2歳Sの勝ち馬
モンドキャンノが7番人気で2着して、2017年も
京王杯2歳Sの勝ち馬
タワーオブロンドンが2番人気3着だった。タフな阪神コースに移動したことで、距離延長の京王杯
ステップは苦戦するのではという予想もあったが、重要性はむしろ高くなっている。
3.前走1着馬が強い
トーナメントの決勝戦のような性質があるレースで、前走で負けていることはそれだけで割り引き材料になる。前走で1着だった馬が10連勝していて、2着も過去10年で5頭、3着も7頭が前走1着馬だった。
ファンタジストは
小倉2歳Sと
京王杯2歳Sを連勝。これまで1200mと1400mにしか出走経験がないが、2016年2着の
モンドキャンノも同様の臨戦過程であり、マイル戦未経験にそれほど神経質になる必要はない。1200mの新馬戦で上がり3F34.5秒、前走は3F33.2秒のキレ味を披露。好位につけて速い脚を使える脚質は、近年の朝日杯のレース傾向にぴったりと見る。