古くは1991年の
トウカイテイオー、最近では2016年の
マカヒキなど、結構な名馬が勝ち上がっている
若駒Sだが、05年のレースを見てしまえば、他はすべてかすんでしまう。
楽々と突き抜けた
ディープインパクトの直線シーンを見て、「こんな馬に乗ってみてぇ〜」。裏開催の小倉競馬場で感嘆の声を上げたのは、逃げの名手として知られた
中舘英二(現調教師)だ。当時、記者は裏開催の小倉競馬場に滞在しており、直前のレースを終えたばかりの同騎手と検量室で観戦。確かに誰もがそう思うよな。まるでゲームみたいだもん。そのように感じた記憶がある。
モニター越しでもそうなのだから、現地で見たファンの衝撃はとてつもないものだったのでは?
弥生賞よりも
若駒Sのほうが「
ディープインパクト記念に適切」という声も聞く。それはレースの格うんぬんの話ではなく、
ディープインパクトの名を聞いて「どちらのレースを思い出すのか?」という単純な感覚が理由ではないか。この手の案件はファンの意見を聞いてみるなどの柔軟さがあってもいい気がする。
そんな
若駒Sは今週末(26日=京都芝内2000メートル)の開催。相変わらずの少頭数でもメンバーレベルはそれなりだ。クラシックへの登竜門だけあって、
ディープインパクト産駒も毎年のように出走。昨年まで8頭(出走取消の14年
アトムは除く)が出走して2勝なら確率的には上々?
ディープインパクト産駒は基本的に人気先行で、出走馬8頭のうちの6頭が1番人気。しかも、現在のタフな京都芝は産駒に不向きな馬場だ。ならば、今年の
ディープインパクト産駒ラインベック(牡・友道)は評価を下げるべきなのか?
いや、この馬はディープ産駒なのに、ディープ産駒らしさがまるでなく、産駒の最大の武器である瞬発力をどこかに置いてきてしまった一方で、多くの産駒が悩まされる線の細さもない。激戦に見えた
ホープフルS4着後も疲れはまるでなかったようで、前川助手によると「ホンマに丈夫。そんでもって元気。カイバもバリバリ食べよるし、調教をどんだけやってもへこたれん。正直、時計の速い競馬ではどうかと思ってたけど、いまの京都は芝が悪くて時計がかかってるやないですか。この馬に合うんちゃいますかね」。ディープ産駒に対するものとは思えないようなコメントばかりが並ぶが、これこそが現在の京都芝に必要なものなら、むしろ評価を上げてみたい。
では、急速に増えつつある母
父ディープインパクトは?18年
ケイティクレバーでいきなり勝ったかと思えば、昨年の
ブラヴァスは最下位の8着に惨敗。その判断は難しいが、今年の
アリストテレス(牡・音無)にはディープ系の鋭さをあまり感じず、どちらかというと長く脚を使うイメージ。父
エピファネイアの影響のほうが強いのであれば、意外に面白いかも。
ちなみに
ディープインパクトのラ
イバル、
ハーツクライの産駒は17年
アダムバローズが勝っていて、実はこの1戦1勝(出走取消の15年
シュヴァルグランは除く)。昨年は
ハーツクライの後継種牡馬
ジャスタウェイ産駒の
ヴェロックスが勝っている。こちらのほうが相性はいい?山口キュウ務員に「まだまだ馬が緩い」と言われても、
シルヴェリオ(牡・
池添学)のマークは外せない。
(松浪大樹)
東京スポーツ