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クイーンCで距離の壁克服 波乱の主役はミヤマザクラ/POGマル秘週報

東京スポーツ
  • 2020年04月08日(水) 18時00分
 藤原英厩舎の3歳牝馬「2枚看板」と呼べるのがリリーピュアハートミヤマザクラ。未勝利戦→ゆりかもめ賞と連勝中で忘れな草賞に出走予定のリリーピュアハートは、2016年の青葉賞勝ち馬ヴァンキッシュランの全妹にあたる血統で、早い段階から中距離への適性を見込まれてきた。ゆえに春はオークスを最大目標としたローテーションが組まれている。

 一方、桜花賞に出走予定のミヤマザクラに目を移すと、この馬もまた16年スプリングSの勝ち馬マウントロブソンを筆頭に、兄姉が挙げた現JRA17勝のすべてが1800メートル以上という中距離で活躍している血統だ。普通に考えればマイルは割り引き。そう思って評価を下げた前走のクイーンCだったが、結果はご存じの通り。この血統で初めて“距離の壁”を克服し、本番に向けて大きな一歩を踏み出した。

 厩舎の番頭・田代助手はミヤマザクラの前走をこう評価する。

「自分のリズムを持っているのが大きいね。今の時期の牝馬でそういう馬はなかなかいない。周りに左右されずに走れるから初めてのマイルにも対応できたし、ああいう流れ(一頭が大逃げする特殊な展開)でもモタつくことなく抜け出せた」

 そもそもクイーンCは「西高東低」の現状においても、関西馬がなかなか勝てないレースのひとつ。だからこそ、それを克服してタイトルを手にした関西馬はビッグネームが名を連ねる(近10年では19年クロノジェネシス、17年アドマイヤミヤビ、12年ヴィルシーナ)。距離、コース、左回り…初もの尽くしの中、これを制したミヤマザクラには否が応にもクラシック制覇の期待が膨らむ。

「男馬相手にも走れているし、馬混みに入っても大丈夫。前走は初めての長距離輸送でも体が増えていた。いろんなことを経験しているのは牝馬にとって大事なこと。メンタルの強さは大きな武器になる」

 絶対的と思われた2歳女王レシステンシアが、トライアルであっけなく敗れたように、この時期の3歳牝馬は繊細で難しい。だからこそ波乱の主役には、他馬より多くの経験を積んでいるミヤマザクラがふさわしい――。そこまで言っては持ち上げ過ぎ?

 少なくとも記者はそうは思わない。福永を背にした1週前追い切りでは流れるように加速して、栗東ウッド6ハロン82.0-11.8秒の好時計。仕上がりの良さがヒシヒシと伝わってきた。

「現時点で欠点らしい欠点は見当たらない。GIでも楽しみはあるし、それだけの状態にある」

 チューリップ賞組のレベルが高いのは百も承知だが、今年の桜花賞はこのミヤマザクラからの勝負に迷いなし――。名門厩舎が自信を持って送り出す芦毛の大物候補に熱視線を送る今日このごろである。

(西谷哲生)

東京スポーツ

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