1番人気に支持された
福永祐一の
コントレイルは他馬と横並びの速いスタートを切った。
正面スタンド前で、大外18番枠から出た
ウインカーネリアンが内に切れ込みながらハナに立った。
コントレイルは、そこから2馬身ほど後ろの3番手の内につけて1コーナーに入って行く。2番手は
コルテジア、
コントレイルと馬体を離した外の3番手には
ディープボンドと「チーム・ノースヒルズ」の3頭が好位を固めて向正面へ。
ダミアン・レーンが騎乗する2番人気の
サリオスは、
コントレイルから3、4馬身離れた中団で折り合っている。
1000m通過は1分1秒7。緩い流れを嫌って、後方にいた
横山典弘の
マイラプソディが一気にポジションを押し上げ、ハナを取り切って3コーナーに入って行く。
それも福永は織り込み済みだった。
「思っていたよりペースが流れなかったですね。ノリさんが動いて行くんじゃないかなとは思っていたので、やっぱり来たなという感じで、冷静に受け止められました」
コントレイルは引っ張り気味の手応えのまま、先頭から2馬身ほど離れた4、5番手で3、4コーナーを回った。
福永の前では、内から
マイラプソディ、
コルテジア、
ディープボンドが雁行状に並んでいる。
直線入口で、それら3頭の外にスペースができた。
そこからゴールまでずっと、
コントレイルの前方はクリアなままだった。
ラスト400m手前で福永が手綱を持ち直すようにして軽く気合を入れた。
外から、今日は直線でスムーズに手前を替えた
サリオスが追い上げてくる。
ラスト300m地点で、
サリオスが
コントレイルの1馬身ほど後ろにまで迫ってきた。
福永のアクションが大きくなった。
ラスト200m手前で福永は右の逆鞭を入れた。1発、2発、3発と叩くと、
コントレイルは目を覚ましたように脚を伸ばす。
コントレイルはラスト100m地点で完全に突き抜けた。そのまま
サリオスに3馬身差をつけ、栄光のゴールを駆け抜けた。福永はこう振り返る。
「直線ではちょっと遊んでしまうんです。抜け出してからも緩められなかったのは、まだまだ集中し切れていないからです。
考えてみれば、遊びながらダービーを勝ってしまうんですから、相当優秀な馬だと思います」
これで5戦5勝。圧巻の走りで、父の
ディープインパクト以来15年ぶり7頭目の無敗のクラシック二冠馬(
皐月賞・ダービー)となった。
(文:島田明宏)