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【安田記念】香港馬ロマンチックウォリアーの完勝 3カ国でGIを制覇

  • 2024年06月03日(月) 18時00分

2着ナミュールも秋は巻き返し必至


重賞レース回顧

安田記念を制したロマンチックウォリアー(撮影:下野雄規)


 稍重発表で、近年のように1分31秒台は無理。1分32秒台前半の決着が予測された。多くのファンが予測した通り、勝ち時計は「1分32秒3」。その前後半800mは「46秒4ー45秒9」。紛れの生じにくい平均バランスの典型となり、1番人気から5番人気までに支持された有力馬が上位5着までを占めることになった。実力が反映されることの多い安田記念とはいえ、GIに昇格した1984年以降、さすがに初めてだった。

 勝った香港所属の6歳セン馬ロマンチックウォリアー(父Acclamation アクラメイション[GB]。その祖父ワージブも、3代父トライマイベストも輸入種牡馬)は、迫力あふれる520キロ台の馬体だが、その動きはしなやかだった。好スタートを決めて5-6番手につけると、直線で少し狭くなる場面はあったが、残り1ハロンで先頭に躍り出た。最終着差は半馬身だったが、鞍上のJ.マクドナルド騎手は自信満々。まだ余力あるストライドで最終1ハロンも11秒4。着差以上の完勝だった。これでGIを5連勝(通算8勝目)。香港、オーストラリア、日本。3カ国に及ぶからすごい。マイルを中心に欧州3カ国でGIを7連勝もしたロックオブジブラルタル(2007年は日本で供用)と互角の快記録だろう。

 予備登録のある宝塚記念は回避する予定だが、タフなセン馬の競走寿命は長い。2006年に7歳で安田記念を制したブリッシュラック(父ロイヤルアカデミーII。1996年は日本で供用)は、6歳時と、9歳時にも安田記念に出走している。ロマンチックウォリアーは再度来日するかもしれない。

 前回は遠征疲れと出負けがたたって8着だった5歳牝馬ナミュール(父ハービンジャー)は、今回はすばらしい状態。返し馬では弾んでいた。ハイペースではないので、折り合っての追走も楽。直線はスムーズに外に回ると上がり最速の32秒9で2着を確保。最後は同じように外から追い込んだソウルラッシュ(父ルーラーシップ)との追い比べになったが、最後まで脚さばきは鈍らなかった。秋のビッグレースでも快走必至だ。

 ハナ差3着のソウルラッシュは、過去2回(13、9着)の安田記念とは一変の好内容で2着に上がれるかと思えたシーンもあったが、最後に少し鈍った。これで東京コースは通算[0-1-1-3]。決して苦手ということはないが、他のコースと違ってそうは速い脚が長続きしない死角が出てしまうのだろう。

 4着ガイアフォース(父キタサンブラック)は内枠から終始好位–中位のイン追走。ただ、厳しい流れではなかったため、直線に向いても馬群はバラけてくれず、抜け出したロマンチックウォリアーが抜けて生じたスペースまで、横に進路を探さなければならないロスがあった。結果的に内枠はプラスでもなかった。

 5着セリフォス(父ダイワメジャー)は、大外から突っ込んで上がり2位の33秒0。後方に下げて直線勝負外に徹したから伸びたのは確かだが、珍しくこの馬のスタートが一番速かった。持ち味を生かすため下げたのは当然だが、流れは少しも速くならなかった。あくまで結果的にだが、レース全体のペースが読みと違ったように思えた。

 もう1頭の香港のヴォイッジバブル(父Deep Field ディープフィールド) は、スタートでよれたうえ、左回りの適性もう一歩だったか。Z.パートン騎手は追いにくそうだった。調整の違いはあるが、東京に直接入厩のわりに軽めの調整が連続していた。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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